石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

世界と中東主要国の「腐敗認識指数」(上)

2024-02-11 | その他

(世界ランクシリーズ その6 2023年版)

 

国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 

第6回のランキングは汚職追放を目指す世界のNPO法人Transparency International(略称:TI、本部ベルリン)が毎年発表している「Corruption Perception Index(腐敗認識指数)」について比較しました。

 

 

1.「Corruption Perception Index (腐敗認識指数)」について

 Corruption Perception Index(CPI, 腐敗認識指数)は、公務員と政治家がどの程度腐敗しているか、その度合いを国際比較し、国別にランキングしたものである。ベルリンに本部のあるNPO法人Transparency International(TI)が手がけている。

 

CPIは1995年に第一回の指数を発表、今年で27回目である。調査当初は対象国が41カ国、調査内容も7種類と小規模であったため、各国からは調査結果に対する不満が出たが、回を重ねるに従い内容の信頼性も高まり今回の対象国は180か国である。

 

評価は各国の実業家或いは分析専門家など実務で腐敗の現場に直面している人々の経験や認識に基づくアンケートを統計処理したものであり、CPIは0から100までのスコアで国を採点している。0点は最も腐敗していると考えられる国を、100点は最も透明性が高い国であることを示している。

 

(トップ5の顔触れは変わらず、日本は16位!)

2.2023年の世界ランク及び2022年との比較

(表http://rank.maeda1.jp/6-T01.pdf 参照)

 2023年の腐敗認識指数世界ランクのトップ(即ち清潔度が世界一の国)は昨年と同じくデンマークでありスコアは90であった。これに続くトップ5はフィンランド、ニュージーランド、ノルウェー及びシンガポールであり、これらの国々も前年度の順位と変動はなかった。

 

 上記以外の日本を含む主要な国々の世界ランクを見ると、ドイツは世界9位であり、G7の中では唯一10位以内に入っている。日本は世界16位であり前年の18位よりアップし、また米国は前回同様世界24位である。韓国は世界32位、中国76位、インドは93位である。これら3か国はいずれも前年より順位を下げており、特に中国は前回の65位から11ランク下がっている。ロシアは前回の137位からさらに141位に落ちており、腐敗度が進んでいると評価されている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(2月10日)

2024-02-10 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格:Brent $81.62, WTI $76.25

(中東関連ニュース)

・イスラエル首相、難民で膨れ上がるRafah地区の市民避難計画を軍に命令

・サウジ、エジプト等アラブ5カ国外相がリヤドでガザ問題を協議

・ヨルダン国王、米、加、独、仏歴訪。各国首脳とガザ問題協議

・イラン外相、レバノンでヒズボラ―幹部と会談予定。シリア、カタールも訪問

・独、紅海にフリゲート艦派遣

・露大統領、トルコ訪問を4月末または5月初に延期

・トルコ、IS加担容疑で147人を拘束

・トルコ:拘留中の容疑者、イスラエルスパイであると告白

・Moody's、イスラエルのソブリン格付けをA1からA2に格下げ

*S&P「主要国のソブリン格付け(1月現在)」参照。

・カタール:米Texas大分校閉鎖にイスラエルロビーの影。カタールファンド、悪意あるキャンペーンと反論

 

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今週の各社プレスリリースから(2/4-2/10)

2024-02-10 | 今週のエネルギー関連新聞発表

2/5 JOGMEC

H2グローバル財団とクリーン水素に関する覚書を締結~水素社会実現に向けた協力関係の構築~

https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_08_00038.html

 

2/5 JX石油開発/商船三井

JX石油開発と商船三井がCCSバリューチェーン構築に向けた海上輸送等の調査・検討に関する覚書を締結

https://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_files/NOEX240205JP.pdf

 

2/6 bp

Fourth quarter 2023 results

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/fourth-quarter-2023-results.html

 

2/7 TotalEnergies

Fourth quarter and full-year 2023 results

https://totalenergies.com/media/news/press-releases/fourth-quarter-and-full-year-2023-results

 

2/8 コスモエネルギーホールディングス

代表取締役の異動に関するお知らせ  

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/press/2024/240208-01/240208jp-10.pdf

 

2/8 コスモエネルギーホールディングス

役員の異動に関するお知らせ

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/press/2024/240208-01/240208jp-01.pdf

 

2/8 コスモエネルギーホールディングス

組織改定のお知らせ(2024 年 4 月 1 日付)

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/press/2024/240208-01/240208jp-03.pdf

 

2/8 コスモエネルギーホールディングス

2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/ir/financial/result/2023/q3/pdf/23_3q_all.pdf

 

2/9 ENEOSホールディングス

2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

https://www.hd.eneos.co.jp/ir/library/statement/

 

2/9 ENEOSホールディングス

自己株式取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ

https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20240209_01_01_0906370.pdf

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(114)

2024-02-09 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第4章:中東の戦争と平和(28)

 

114 ナクバの東(3/3)

彼らは子供たちに大学教育をつけてやることにも熱心であった。流浪の難民が他国で生きていくためには人並み優れた知識や専門技術が必要だったからである。クウェイトで働くシャティーラ家とアル・ヤーシン家はそれぞれ教師と医師であったため、人一倍教育熱心であり、シャティーラ家では苦しい家計をやりくりして次男を米国に留学させた、サウジアラビアの石油会社で働く長男のシャティーラも給料の何がしかを弟の学費の足しにと父親に渡した。彼らは弟が米国の大学を卒業し市民権を取ってくれることを期待した。そこには万一、中東での生活が危うくなったとき、米国に移住しようという思惑もあったのである。

 

 ただ父親自身はトゥルカムに戻る希望を失っていなかった。彼には故郷の町で私塾を開き子供たちに学問を教えて余生を過ごしたいという夢があった。彼はクウェイトでの教師として定年を迎えた1970年代末にクウェイトを離れ、ヨルダンに戻った。シャティーラ家と前後してアル・ヤーシン家も娘のラニアをカイロのアメリカン大学に留学させると、それを機にヨルダンに戻った。こちらは医師の免許があるのでヨルダンに永住する覚悟を決め、パレスチナ国籍からヨルダン国籍に変更した。1970年の「黒い9月」事件以後、パレスチナの政治組織PLOはレバノンに移り、ヨルダンはフセイン国王の下で平穏な情勢であった。湾岸諸国に移住したパレスチナ人たちはいろいろな思惑を胸にヨルダンに戻ったのである。「ナクバ」の地パレスチナから東へ東へと移動したパレスチナ人は再び西へ移動し、ヨルダンでパレスチナに帰還できる日を待ちわびたのであった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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石油と中東のニュース(2月8日)

2024-02-08 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格:Brent $78.75, WTI $73.51

・サウジ:アジア向けA/L原油を2年来の安値に据え置く

・カタール、インドPetronetとLNG輸出契約再延長。総量850万トンに

(中東関連ニュース)

・イスラエル軍、ガザのKhan Younis を猛攻

・イスラエル首相、ハマスの訂正提案を拒否。ハマス壊滅以外の選択肢は無い

・米議会、両党合意のイスラエル支援176億ドルを否決。トランプ氏選挙戦略

・米ドローン攻撃。イラクで親イラン組織の司令官を殺害

・伊藤忠子会社、国際司法裁決定に従いイスラエル企業との合意破棄

 

・トルコ、ウクライナにドローン攻撃機年産2百機のプラント建設

・トルコ、リビアとの関係改善促進。ベンガジ領事館再開へ

・韓国起亜自動車、サウジと軍用車製造のMoU締結

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(113)

2024-02-07 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第4章:中東の戦争と平和(27)

 

113 ナクバの東(2/3)

 湾岸諸国では外国から来る出稼ぎ者を「ゲスト・ワーカー(客人労働者)」と呼び、自らを「ホスト国」と称した。アラビア語で日常会話をし、金曜日にはモスクで一緒に礼拝するパレスチナ人出稼ぎ者は地元では最良の「ゲスト・ワーカー」だった。ただし「ゲスト(客人)」という言葉の響きに惑わされてはならない。石油の富の分け前を求めてこの国にやってくるパレスチナ人はあくまでも出稼ぎ労働者に過ぎない。だからパレスチナ人たちは冷遇される。時には自らを棚に上げてパレスチナ人を罵倒する者もいる。子供たちもそれを真似て理由もなくパレスチナの子供たちをいじめる。

 

 しかしパレスチナ人たちはじっと耐え忍ぶしかない。ここでは故郷の数倍の給料がもらえるが、身分は不安定で、雇用主の気分次第で簡単に首にされ国を追い出される。出稼ぎはまさに現代の奴隷制度である。

 

ただ出稼ぎは移民と異なることを指摘しておく必要があろう。移民は他国から移住してその国の市民権を取得した人々である。社会的差別があるにしても移民は本来の国民と同様の政治的権利を持ち、社会保障を受ける権利を有する。しかし出稼ぎ労働者にはそのような権利は与えられない。

 

パレスチナ人は明らかにクウェイトやサウジアラビアの国民よりも学問があり、経験豊かで礼儀正しかった。それでも出稼ぎという現代の奴隷制度のもとでは彼らは屈辱に耐えて働き続けるほかなかった。彼らは毎月の給料の大半をひたすら故郷に送り続けた。いずれ退職してヨルダンに帰ったときにアパートを建てて家主になるか、或いは小さな店を開いて自営業者になることが彼らの夢だったのである。

 

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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石油と中東のニュース(2月6日)

2024-02-06 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・イスラエル国防相:ハマス指導者Yahya Sinwarは隠れ家を転々、Rafah潜伏か

シリア、公務員/兵士の給与、昨年倍増、今回50%増。激しいインフレ対応

・イエメン首相にMubarak外相就任

・スーダン外相、イラン訪問。2016年国交断絶以来の関係改善へ

・トルコ、エジプトにドローン製造技術供与

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世界の成長率今年3.1%、来年3.2%:IMF世界経済見通し (下)

2024-02-06 | その他

2. 2023年~2025年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-11.pdf 参照)

 主要な経済圏と国家の昨年(実績見込み)、今年(予測)及び来年(予測)のGDP成長率の推移を見ると以下の通りである。

 

(3年間低いままのEU圏!)

2-1主要経済圏

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)

 全世界の3年間の成長率は3.1%(2023年)→3.1%(2024年)→3.2%(2025年)と殆ど変化が無い。コロナ禍のような大きなマイナス要因がなく、一方でかつての中国のように世界経済を大きくけん引する国も見当たらないことが成長率を停滞させるとIMFは見ているようである。

 

 主要な経済圏を見ると、EU圏は0.5%(2023年)→0.9%(2024年)→1.7%(2025年)と極めて低い成長率で推移すると見込まれている。長引くウクライナ紛争が影を落としており、EUの中核であるドイツ経済が高止まりするエネルギー価格の響を受け停滞していることが原因と考えられる。

 

 ASEAN5カ国の成長率は4.2%→4.7%→4.4%であり、世界平均を上回る成長率を維持する見通しである。中東・中央アジアは産油・ガス国が多いが、世界経済の回復の遅れ及び長引くウクライナ紛争の影響を受け昨年(2.0%)及び今年(2.9%)は低成長を余儀なくされる見通しである。但し来年(2025年)は世界平均を上回る4.2%の成長率となる見込みである。

 

(6%以上の高い成長率を維持するインド!)

2-2主要国

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)

米国の昨年の成長率は2.5%であったが、今年(2.1%)、来年(1.7%)と連続して成長が鈍化する見通しである。日本も同様に1.9%→0.9%→0.8%と連続して成長率は低下し、今年及び来年は1%を下回るとみられている。

 

中国は5.2%→4.6%→4.1%であり、米国或いは日本と同様の傾向であるが、それでも世界平均を上回る5%前後の高い成長率を達成すると予測されている。ロシアの見通しは3.0%→2.6%→1.1%であり、長引くウクライナ紛争により成長率が急速に落ち込むものと見込まれている。ロシアと並ぶ産油国であるサウジアラビアの3年間の成長率は▲1.1%(2023年)→2.7%(2024年)→5.5%(2025年)である。昨年は自主的な大幅減産及び油価の低迷による歳入不足に輸入物価の上昇が重なりマイナス成長になったが、来年は安定的な財政収支により成長率が高まると見込まれている。

 

各国が低迷する中でインドの成長率は6.7%→6.5%→6.5%と6%台後半を維持し、世界平均を大きく上回る見込みである。中国に代わり同国が世界経済の牽引車と目されている。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(112)

2024-02-05 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第4章:中東の戦争と平和(26)

 

112 ナクバの東(1/3)

 イスラエルの独立を賭けた第一次中東戦争でアラブが惨敗したため、アラブ諸国ではこの戦争のことを「ナクバ(大災厄)」と呼んでいる。その最大の被害者はパレスチナに住んでいたアラブ人、すなわちパレスチナ人であった。戦争終結後の数年間で約75万人のユダヤ人が世界各地からパレスチナに流れ込んだが、それとほぼ同数のパレスチナ人が難民となって国外に押し出された。その後の中東戦争でも多数のパレスチナ難民が生まれ、難民の総数は世界全体で1千万人と言われるが、その多くは東の隣国ヨルダンに逃れたのである。ヨルダンが「ナクバの東」という訳である。

 

 しかしもともと貧しい国であるヨルダンではパレスチナ難民の暮らしは苦しく、彼らの多くはそのころ石油ブームが始まったばかりのクウェイト、サウジアラビアなどの湾岸アラブ産油国へ移住した。彼らはナクバの地パレスチナからヨルダンを経てさらに東へと移動していったのである。湾岸産油国で彼らは重宝がられた。同じアラブの同胞、共にアラビア語を話す容易な意思疎通、宗教はイスラーム、宗派も同じスンニ派。そしてサウジアラビアやクウェイトがなによりも重宝したのはパレスチナ人の学力の高さであった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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世界の成長率今年3.1%、来年3.2%:IMF世界経済見通し (上)

2024-02-05 | その他

IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook Update、January 2024)」を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び日米中印など主な国々の2022年(実績)から2025年(予測)まで4年間のGDP成長率が示されている。

 

本稿ではまず世界、主要経済圏、主要国の今年の成長率を概説し、次いで前回2023年10月の経済見通に比べどのように見直されたかを点検する。さらに3年間(2023、2024及び2025年)の成長率の変化を合わせて検証することとする。

 

*WEOレポート:

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/01/30/world-economic-outlook-update-january-2024

 

(同日本語版)

https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2024/01/30/world-economic-outlook-update-january-2024

 

(今年の世界の成長率3.1%、米国は前回見通しを大幅に上方修正!)

1.2024年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

 今回1月見通しでは今年の世界の成長率は3.1%とされており、前回10月の2.9%から0.2%上方修正されている。これについてIMFは、米国といくつかの新興市場国・発展途上国における予想以上の底堅さに加え中国の財政支援を理由に挙げている。

 

1-1.主要経済圏の成長率(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)

 経済圏で見るとEU圏の2024年の成長率は0.9%であり、10月の1.2%より低下しており、中東・中央アジア諸国も3.4%から2.9%に引き下げられている。これに対してASEAN5カ国は4.5%から4.7%に上方修正されている。EU圏は後に触れる通り経済回復が遅れているドイツが、また産油(ガス)国が多い中東・中央アジア諸国はエネルギー価格の停滞が成長の足を引っ張っているようである。

 

1-2.主要国の成長率(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)

 国別では今年の成長率は米国2.1%、日本0.9%、ドイツ0.5%、英国0.6%、中国4.6%、インド6.5%、ロシア2.6%である。中国はコロナ禍前には二桁の高い成長率を誇っていたが、コロナ禍で急減速し、現在も成長の足取りが遅い。ヨーロッパ諸国は上記の通りEU圏の成長率が1%を下回り、ドイツは0.5%の成長にとどまり、また英国も世界平均を大きく下回っている。ロシアの2024年成長率2.6%は昨年10月の見通し(1.1%)から大きく上方修正されている。その背景にはウクライナ紛争をめぐる高水準の軍事支出並びに労働市場のひっ迫に支えられた民間消費の上振れがある。しかし来年(2025年)はその反動で成長率は1.1%に減速すると見込まれている。

 

 一方アジアではインドが世界平均を2倍以上上回る6.5%と世界最高水準の成長を達成すると見込まれている。中東主要国の今年のGDP成長率は、エジプト3.0%、トルコ3.1%、イラン3.7%であり、ほぼ世界平均(3.1%)を上回る成長率が見込まれ、サウジアラビアは2.7%である。昨年10月の見通しと比較するとサウジアラビアは1.3%の大幅下方修正であり、エジプトも▲0.6%のマイナス見直しである。これに対しトルコ及びイランはいずれも昨年10月の数値を0.6~0.7%上方修正している。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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