ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITSへの提言:市場の自律性を中心に据える その3

2005年06月22日 | ITS
ITSが今後発展するためには、車載機器の標準装備化が必須だと書いた。

ETCにしてもそうだが、一般に消費者はあまり使用中の車へ装備を後付することはない。次の新車の時に装備しようとする。さらに、その装備がメーカーオプションではなく、車両価格に含まれていなければ急速な普及はない。

では、どういう商品・サービスが「それがなければ買わない」(キラーコンテンツ)と市場が合意する装備になるのだろうか?

商品力、マーケットニーズが大前提であることは当然だか、それが完全に論理的に動くとは限らない。
エアバッグの例にしてもそうだ。
車両の平均速度を考えれば欧米では必需品だと思うが、殆どの場合最高速60キロ程度の走行に終始する日本で、本当にエアバックの優先順位が一番高いのか、ということには疑問もある。

しかし、結果的に「必需装備」として日本の消費者は認識したのだ。

乗員保護の先進装備の象徴として各社が宣伝し、マスコミも同調し、結果的に世論が形成されてきた。

テレマティクスが次世代のキラーコンテンツになる、と随分騒がれたが、これは完全に失敗に終わっている。トヨタも日産もかなりの宣伝を打ったが、結果的には市場に浸透していない。

私が断言できるのは、次のキラーコンテンツはやはりASV関連だということである。
安全性向上は最も消費者にわかりやすいメリットである。
例えばエアバッグは、その構造と機能からして極めてわかりやすい。機械に詳しくない女性ユーザーでも、直感的に理解できる。その辺が急速な普及につながった一因でもある。

そう考えると、追突防止か車線逸脱防止装置が次のキラーコンテンツになるだろう。

カーメーカーは自車の競争力向上という経済原則に基づき研究開発をすればいいし、国交省はそれらの実現を助け、促進することに全力を傾けるべきである。そのための法整備、税制優遇や、道路側での対応など、まだやれることはあるはずだ。