「このミステリーがすごい!」2008年第一位、三大の運命を描く大河小説、と帯にある『警官の血』。ベストセラー。作者は佐々木譲さんで、団塊の世代の終わりの1950年の生まれ。そのことも興味もあり、あっという間に読みきりました。
警察官の世界も、まさに政治に世界と同じ、一つのことを成し遂げようとするときに、主義主張の正しさはなかなか通りにくく、人脈、対抗する勢力への暗闘、個人の想いなどが複雑に交錯して動いていくということがよくわかる小説です。
最後の違法捜査か否かを若い警官と安城和也が語るシーン「おれたちのやっていることは市民から支持されている限り、おれたちはその上に立っていられる。愚かなことをやると、世間はおれたちを黒の側に突き落とす、それが警官だ」。
ただ、私など警察の世界とは反対の側に居たことが長いものにとって、個々で描かれる社会運動に目がいってしまいます。初代の安城清二と血のメーデー事件の時代、二代目の安城民雄と赤軍大菩薩峠軍事訓練事件の時代。
作者は、全共闘運動に対しては、同時代を生きているせいか、共感を、安城民雄を通じてその気持ちを吐露させています。ただ、三代目の安城和也に対応するオウムやや六本木ヒルズ族はあっても社会運動を登場させていません。何故か。
それにしてもさっと読むには面白い小説です。一読をお勧めします。
警察官の世界も、まさに政治に世界と同じ、一つのことを成し遂げようとするときに、主義主張の正しさはなかなか通りにくく、人脈、対抗する勢力への暗闘、個人の想いなどが複雑に交錯して動いていくということがよくわかる小説です。
最後の違法捜査か否かを若い警官と安城和也が語るシーン「おれたちのやっていることは市民から支持されている限り、おれたちはその上に立っていられる。愚かなことをやると、世間はおれたちを黒の側に突き落とす、それが警官だ」。
ただ、私など警察の世界とは反対の側に居たことが長いものにとって、個々で描かれる社会運動に目がいってしまいます。初代の安城清二と血のメーデー事件の時代、二代目の安城民雄と赤軍大菩薩峠軍事訓練事件の時代。
作者は、全共闘運動に対しては、同時代を生きているせいか、共感を、安城民雄を通じてその気持ちを吐露させています。ただ、三代目の安城和也に対応するオウムやや六本木ヒルズ族はあっても社会運動を登場させていません。何故か。
それにしてもさっと読むには面白い小説です。一読をお勧めします。