まつや清の日記 マツキヨ通信

静岡市議会議員 まつや清の日常を毎日更新!

2012年5月11日 ナロージチ地区 行政長

2012年05月13日 | ニュース・関心事

写真は訪問団と野記念写真ですが、後ろにあるのは放射能汚染によって廃墟となった村々の名前が記録されている石造。

非常事態省のレクチャー、論争を経て日本政府や東電は、26年間のチェルノブイリ原発事故のウクライナ政府の総括を或る意味で吸収しているのではないか、実際の現場のジトーミル州ナロージチ地区の行政長はどう考えているのか、そんな想いで出発。

キエフから3時間のクローステン、そこから2時間、チェルノブイリ原発から西に70キロのジトーミル州ナロージチ地区。ジトーミル州の人口は160万。その中の汚染地区の第一ゾーン~第4ゾーンの全エリアを抱えてきたナロージチ地区の人口は3万人。
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現在の人口は、1万1500人、正式登録は9675人、子ども1800人因みにコローステンシ市の人口は事故前は11万人だったが7万人。移住しナロージチ地区の役場で地区長のトローヒメンコ・ヴァーリィさんと面談。質問への次の回答が実態だと理解。

「国に求めたいことはいろいろあるが、一番簡単なこと。自分が着任して2年たつが非常事態省から誰1人も来たことがない。我々の方からも絶え間なく陳情をしているがかんばしい強い反応がない」。非常事態省の日本へのアドバイスと現場の乖離の存在に愕然。

ウクライナ政府は、「チェルノブイリは終わった」と考えているようだが、ナロージチ区の26年間の放射能被ばくの実態解明が福島事故の放射能被ばく対策につながるとする木村さんの確信を地区長との面談や地域の人々の生活の中に見ることができたことは大きい。

地区長とのやり取りのあと、「チェルノブイリ救援・中部」の河田昌東さんたちのが進めているなたね栽培による土壌のセシウムの吸収とバイオ燃料生産の現場をジトーミル国立農業大学のムイコラ・ヂィードフに案内してもらったが、キエフでの報告はこれで限界。

詳細な報告を現地にいるうちに思ったものの強行軍のスケジュールで睡眠時間を減らして書いているもの間に合わず、11日の報告をアップしているのが帰国の朝13日。まず文章のみアップ。

2012年5月10日 コローステンホテル近くのレストランの大論争

2012年05月13日 | ニュース・関心事
非常事態省での住民保護課の職員の方からの報告を受けた後、コローステンホテルに向かい近くのレストランで食事したのが夜の10:00近く。ビールを囲んで大論争、翌朝に論点整理。写真はレストランのウクライナ料理。

1、 非常事態省が「私たちの誤り」という二つの視点。一つは、情報の隠匿、二つ目が被ばく者に対しての補償を一次的補償と社会保障制度としての様々な特典を与えてきたが、「改善」しているのにその社会保障制度を「改定」できていないこと。なおかつ、社会保障制度は、ソ連政府によってこそできたが、ウクライナの独立という財政確保の難しい現状の中で、「改善」されているのだから財源を地域の産業の復興に向けれるべき。
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2、 これは日本で新たな法律制定に向けて参考にしてほしいと述べたが、まず「改善」が実態としてどうであるのか。二つ目に、制度の改善ができていないことを政治家のあり方論として述べられていることに妥当性があるのか。「改善」については、コローステン-ナロージチ地区で現状を11日現地調査を行う。制度の改善について、今中氏も指摘する「政治家の大衆迎合主義と現実的対応を迫られる」は本当であるのか。

3、 「改善」という中に、原発事故は何故、引き起こされているのか。日本は地震国、地震だから、「原子力をコントロールできない」として認識されているが、ドイツやイタリアのように地震国でなくても、原発ゼロを決めていることは(核廃棄物、プルトニウム=放射能被曝の危険性、専門家支配)をウクライナ政府がどのように認識しているのか。政府は、「改善」しいるとする現実とどう向き合おうとしているのか。

4、 政治家の問題として指摘されていることに、行政府としての「財源論」にもとづく社会保障切り捨ての側面がないのか。また、「改善」による土壌汚染に基づく4ゾーン規定に問題はなかったのか。本来、線量による汚染、健康対策をすべきであったのではないか。「改善」認識のもとをもたらすこの規定自体への問いかけから現実をもっと向き合う必要がある、土壌汚染にも線量規定も規定されているが、どう振り返るか。

5、 「改善」と「改正」というウクライナ政府の認識は、被ばく者の健康被害の認識がIAEAによる国際的な原発政策からの誘導、つまり2006年のチェルノブイリ事故20周年をめぐる「改善」認識があるのではないか、ウクライナ政府の復興に向けた財源確保の政治判断が背景にあるのではないか、の検証が必要である。非常事態省での説明は或る意味で日本政府が一番、そのことを吸収しているのはないかの懸念が生まれた。

6、 これらを背景に、調査団の論争としてまず、社会保障制度の「改定」は、財源論による被ばく者「切り捨て」政策でるとする指摘と政治に関わる立場から「大衆迎合主義と現実的対応策」という観点から是とすべき要素があるのではないか。原発事故被ばく者の現実への向き合い方、つまり、事故の発生の国家責任を明確にすること、ヒロシマ・ナガサキでの国家補償の観点(90年代にはいって)の課題を認識すべき。

7、 この国家補償(死ぬまで保障)は、水俣、イタイタイ病における「公害保障」と同質であるとの指摘とEURRの健康被害の警告と重ね合わせての再認識の必要性や非常事態省の線量規定の大幅「改善」主張に妥当性はあるのか。また、援護法の「申請」をめぐる「差別」問題発生の根拠となる放射線医学における被ばく=染色体破壊と遺伝をめぐる)認識の是正(五代先)と教育の必要性があるとの指摘等どう受け止めるか。