※写真は、10月5日私が理事を務める日本語教育センターでの入学式で保証人を引き受けたベトナムの学生との記念写真。
アジアを考える静岡フォーラム2013年度総会の記念講演で、一水会顧問の鈴木邦男氏に「右翼からみたヘイトスピーチ」テーマに記念講演をしていただきました。今回の判決は妥当なもの。歴史を踏まえたアジアの人々との付き合い方大切にしたいですね。
※毎日新聞、本日の社説。
社説:ヘイトスピーチ 差別許さぬ当然の判決
毎日新聞 2013年10月08日 02時35分
特定の人種や民族への憎しみをあおるヘイトスピーチ10+件(憎悪表現)と呼ばれる言動の違法性を認める初めての司法判断が示された。東京や大阪などの在日韓国・朝鮮人が多く住む地域などで繰り返され、社会問題化しているこうした行為の歯止めにつながることを望みたい。
朝鮮学校を運営する学校法人が、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」や会員らに損害賠償などを求めた訴訟で、京都地裁は1226万円の賠償を命じ、学校周辺での街宣活動も禁止した。「密入国の子孫」「朝鮮学校をぶっ壊せ」と怒鳴り上げ、その様子を撮影した映像をインターネット上で公開したことが業務を妨害し、名誉を傷つける不法行為と認めた。当然の判断だ。
判決はさらに、一連の言動が国連の人種差別撤廃条約が禁止する「人種や民族的出身などに基づく区別、排除」に該当すると認めた。このような差別行為であれば条約に基づき、損害も高額になるという判断も示した。
在特会側の街宣活動は、学校が隣接する公園を、管理者である京都市の許可を得ないまま運動場として使っていることを非難するものだった。しかし判決は、事実を示す内容が含まれていたとしても、在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図があることは明らかで違法とした。演説も公益目的のない侮蔑的発言としか考えられないと述べ、「政治的意見を述べる自由は保護される」という在特会側の主張を退けた。
表現の自由は基本的人権の中でも重要な権利であり、デモによる意見表明は尊重されるべきだ。しかし、ヘイトスピーチ10+件は、攻撃の対象となる在日韓国・朝鮮人らの尊厳を傷つけ、外国人に対する偏見と排外主義的な感情も助長しかねない。
韓国や中国では、日本でのデモなどの様子がネット上で紹介され、反日感情を刺激している。一部の人たちの言動が日本と韓国や中国との関係悪化を助長することは避けなければならない。
日本も加盟する人種差別撤廃条約にはヘイトスピーチに対する処罰規定がある。ヨーロッパなどには刑事罰を科す国もあるが、日本はその部分を留保している。新たな法規制をすれば、表現の自由をおびやかし、行き過ぎた言論統制を招く恐れがあるためだ。判決は現行法でもヘイトスピーチ10+件に対応できることを示した。
判決は、人種や民族などの違いに基づく差別は許されないという常識を改めて強調した。個人の尊厳を傷つける言動はいけないという社会的合意を広げていくことが大切だ。教育の場などを通じて人権感覚を育てる取り組みを充実させたい。