まつや清の日記 マツキヨ通信

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2014年度決算討論であらためて「県都構想」を論じました

2015年10月20日 | ニュース・関心事
 
反対討論の前半は「県都構想」について論じました。「決算審議からはずれている」とのヤジは多かったですが「とてもよかった」と感想を述べてくれる議員もいて少し安堵。
※写真の撮られ方も難しい。

2015年9月議会 決算+補正予算 反対討論  2015年10月20日

会派・緑の党グリーンズジャパンとして、決算関連で認定第1号、認定第16号、認定第17号、認定第18号、その他議案関係で議案157号、議案第159号、議案第161号、162号、議案第174号、175号、議案第185号に反対の立場から討論を行います。
2014年度はアセットマネジメントの指針を前提に第三次総合計画を策定し3月の市長選挙におけるマニュフェストの土台を作り上げた1年といえます。第三次総合計画において、2013年段階では岡山市との比較を行いながら「静岡市の人口構造は未来を先取りしており他都市にとって先進事例となる」と「人口減少をマイナスだけでとらえない静岡的地方創生の道を模索する」選択していたにもかかわらず、2025年に70万維持の目標とする路線に転換しました。このことは2014年の決算議論の大前提になるのではないかと考え2点の意見を述べます。

第1は、田辺市長は、千葉大学広井良典教授が掲げている「成長・拡大」の時代から「成熟・持続可能」な時代への歴史的転換期という基本認識を示し、幸福はGDPで測れない、本当の豊かさとは何か、3・11東日本大震災以降の成長経済主義と一線を画する新たな価値指標を模索している点であります。9月28日の健康都市セミナーにおいて東大高齢社会総合研究所の辻哲夫氏により静岡市のふれあいサロンや健康寿命などその潜在的地域力は高く評価され、技術水準の大幅な進展によってもたらされている過度な病院依存社会から脱出し、2014年度に静岡市で出発した在宅医療と介護の連携は時代の趨勢であり、静岡でのトップモデルの形成は日本のみならず東アジアにおける超高齢化社会への大きく貢献する、との発言がなされました。人口減少の静岡市が先進事例となれるカギがここにあります。

第2は、企画課から2006年から14年まで人口資料によると、昨年1年間の静岡市の人口減少は3022人、その内訳は、葵区マイナス518人、駿河区マイナス575人、清水区マイナス1929人と清水区が圧倒的に減少している点です。社会増減において県外転出は各区共に多いのですが全体でマイナス930人、葵区マイナス424人、駿河区マイナス184人、清水区マイナス322人。県内移動は県庁所在地ということで全体はプラス259人と転入が多いのですが葵区プラス295人、駿河区がプラス99人、清水区がマイナス135人と葵区が圧倒的にプラスでここでも清水区がマイナス。市内各区域移動では全体でプラス・マイナスは0ですが、葵区にプラス418人、駿河区マイナス177人、清水区マイナス241人、ここでも葵区に転入が集中していて清水区の転出が多い。自然増減において駿河区が若い世代が多く死亡より出生が圧倒的に多かったのですが、2011年東日本大震災以降に減少が始まっています。2011年は、全体マイナス1510人で葵区マイナス723人、駿河区プラス193人、清水区マイナス980人と駿河区は生まれる子供が多かったのです。2014年、葵区マイナス777人、駿河区マイナス202人、清水区マイナス1046人。昨日の地方創生会議では市立大学ができれば若者人口の減少が止められるわけでもないという資料も提示されました。「70万人口維持」論にこだわるのでなく葵区、駿河区、清水区の各区の人口の増減の特徴がありその分析の中に静岡的地方創生のカギがあると考えるべきであります。

ところが「70万人口維持」論は、望月俊明議員が指摘するように「目標と目的は違うにもかかわらず、努力の結果として人口が増える、静岡に移住される方が出てくる、ということであるにもかかわらず」、「成熟・持続可能」な時代と価値観を異にする安倍政権のGDP600兆・新3本の矢に引きずられ「成長・拡大」な時代に想いを寄せる方々への期待にもつながり、ひいては川勝知事の「70万人口をきったら政令市失格論」を支える世論となるわけであります。

2014年度決算への監査委員意見は、最後に自治基本条例第6条の「連携」でまとめられています。14日、19日の公聴会で「連携」を求める声は多数派であります。ところが事態は逆の方向へ進み始めているようにも見えます。14日、19日の2回の公聴会において知事が主張する「70万人口が政令市の境目」「静岡県の「都」として風格」「二重行政の無駄遣い」「広域行政が得意な県、静岡市のいいところを活かす特別区」、「特別自治市と県都構想の二つの選択肢を問題提起」「決めるのは市民、万機公論に決す」との主張に正統性があるかのような雰囲気が生まれようとしています。 

何故ならば知事は賢く「実質論」を語らず「県都構想入門論」と「万機公論に決す」との市民主権論中心の論理立てをされているからです。14日公聴会前に議会に県都構想批判のメモは示されましたが、Near is better 田辺市長も本会議答弁で使っていますが、分権に逆行する県都構想を制度論として市民に分かりやすく説明する必要があります。例えば、特別区が静岡のいいところを伸ばすというけれども東京都の特別区においては都市計画の用途地域の変更権限は都が持っていることや基礎自治体の固有財源である固定資産税は東京都に一旦吸い上げられ55%が特別区に、大阪都構想においては77%、配分されるシステムであり分権に逆行していること。こうした基本的情報が市民に提示されていません。