イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「大人のソロキャンプ入門」読了

2022年12月21日 | 2022読書
ヒロシ 「大人のソロキャンプ入門」読了

“ソロキャンプ入門”というよりも、ヒロシのキャンプ観を伝えているような本である。
年末年始は図書館も休館になるのでいつもよりもたくさんの本を借りるのだが、せっかくだから釣り関係の本で目新しいものがないかと書架を見ていたら、最近は釣り関係の本が減り、キャンプ関係の本が増えているのでそっちのほうに目が行く。この本が出版されたことは知っていたが、いつの間にか蔵書されていた。
ヒロシのキャンプスタイルには共感するものがあるので迷わず借りることにした。
本の構成はキャンプ初心者の編集者との会話形式となっている。流行に乗り遅れまいと急いで作ったという感じだ。ヒロシも忙しくなって執筆どころでないのだろう、簡単に作れる方法を選んでしまったようだ。

だから、今まで読んだ本のようなヒロシらしさはあまり出ていなかったような気がする。
最もよくヒロシらしさが出ていたのは冒頭の部分だった。
もともと芸人仲間たちとグループでキャンプを始めたというのがヒロシのキャンプライフのスタートだったそうだが、そんな中、後輩芸人から、「焼きそばないんっすか?」といわれたことにプツンと切れて、「俺はいったい、何のためにキャンプをやっているだろうか?」と自問をはじめたという。さらに話は飛躍し、友人を誘ってのキャンプの悲惨さに移ってゆく。友人を誘ってキャンプに行くとこんなことが起こる。
まず、自分は海の見えるキャンプ場に行きたいと思っているのに友人はだだっ広い原っぱのあるキャンプ場でフリスビーをやりたいと言う。声の小さいあなたは反論できずにその行きたくもないキャンプ場を予約する羽目に陥る。
当日、気分が乗らなくても言い出しっぺだから行くしかない。あなたはキャンプ道具一式を準備し、フリスビー男を迎えにゆく。車の中ではよくわからないアイドル歌手の音楽が流れ、肝心の選曲をした友人は助手席で寝てしまう。
キャンプ場に到着すると、お昼には無水カレーを作らされ、友人はキャンプの華である焚火を始めたものの、結局火を着けることができない。あなたはその尻拭いをしなければならない。食事をしながら、別の友人にはボーナスが80万円しかなかったなどと自慢なのか何なのかわからない話を聞かされる。
そこまでは我慢することができても、彼らは食事もほどほどにすぐ近くでキャンプをしていた女の子三人組にちょっかいを出しに行く。話の輪の中に入る勇気もないあなたは残った料理を頬張りながら焚火に夢中なフリをするしかない・・。
そして彼らはあなたが持ってきた4人用テントに戻ってくることはなかった・・。
結局、「他人のおもてなし」となるのであるというのだ。

それにひきかえ、ひとりでキャンプに行くことを想像してみると、行き先、持ち物、食材、すべてにおいて選択は自分次第だ。そこには圧倒的な自由があるというのである。

ここまで読みながら、これは僕の釣りスタイルにも通じるところがあると思った。
もちろん、釣り仲間を招いて船を出すのは嫌いではない。多少は気を遣うけれども、グループキャンプと違い、船長はある程度の権力を持っているからポイント選びから出港、撤退も船長の考えが優先される。その判断で客人に魚を釣ってもらえれば自分が釣り上げるよりもはるかにうれしいというのは間違いがない。
しかし、ひとりで釣りに出るときにはそういった気遣いはなく、釣れなくてもいいし、いつ帰ってもよい。その気軽さでつい、ひとりで船を出すことになる。
きっとそういう部分に共感を得るのだと思い至ったのである。

そこから先の部分というのは、「ヒロシのぼっちキャンプ」を観ているのとおなじシーンが続いてゆく。
このテレビ番組を見始めてそろそろ2年くらいにはなるだろうか。半分くらいは過去の再放送が混ざりながら放送されているのだが、同じものでも何度も観てしまう。
最新のシリーズは少し趣が変わり、訪問先のぶらぶら散歩みたいなものが加わってきた。「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」が終了し、そのテイストを取り入れているようである。今週は和歌山県のキャンプ場を訪ねているらしい。先週の予告編には「ホテル川久」へ曲がる角にある、貝殻やサンゴを売っている怪しいお店が映っていた。食材の調達はきっと白浜にいくつかある緑のテントのスーパーだろうと想像しているのだが、録画した番組を観るのが楽しみだ。

そして、最後の部分で、ヒロシは自分のキャンプスタイルの神髄とは「侘び寂び」であると語る。高価なギアを集めてキャンプをするのではなく、安いものでも自分の気に入ったものを年季がはいるまで使い続ける。ちょっとした工夫やかっこつけを楽しむ。サイトは盆栽のようであるように・・。
そしてそれはエロさにつながるのであるというのがヒロシらしい。
まあ、これはヒロシだからかっこいいのであって、本当に貧乏な僕がやっていると、それはただの“侘びしい錆”でしかないなと思ってしまうのである。
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