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テレビ台の下の戸棚からソファーの下にお引越ししてからも、ファーティハが安心した気配はなかった。
窓から侵入してくるよその猫をいつも警戒してて、風でカーテンがはためくたびにじっと眺めているのだ。
子猫たちは秘密の場所に隠してあるのだから、そんなに神経を尖らせる必要はないんじゃないかと思うのだが・・・。
どうもこの猫は心配性だ。
ある日の夜更け、家の中で「ギャアア~!」とか「ウギャ~!」とかいう雄叫びや、ガタガタガタ~!という大きな物音で目が覚めた。
やれやれこんな夜中に何だろうねえ、と寝室のドアを開けると、廊下でファーティハが大柄な白猫と激しいファイトを繰り広げているのが目に入った。
この白猫はアパートの裏庭の常連で、エサ目当てに時々うちに入ってくるのだ。
出産以前のファーティハはこんなとき、事を荒立てずに見て見ぬふりをしていたものだが、母という立場になってからは、すごい剣幕で闖入者を撃退するようになっていた。
出産は猫の性格まで変えてしまうのね・・・。
ちょっと、コワイわ。
白猫が逃げていったあと、ファーティハは台所へ行き、テーブルの下の床を前足でひっかいて、穴を掘るような仕草をした。
見ると、床には猫のおしっこやウンチらしき茶色い液体が点々と広がっている。
ファーティハのものだけなのか、白猫のも混ざっているのかは判然としないが、バトルの最中にチビったものが周囲に飛び散ったのだろう。
テーブル脇の壁や、洗濯機にまでいっぱいシミがついている。
あああ・・・。
室内で排泄しちゃったことを恥じ入っている風のファーティハに、気にしないように声をかけてから、私は台所の拭き掃除を行った。
夜中の3時すぎのことである。
掃除が終わったあと、私は枕と掛け布団を寝室から居間に運んだ。
ファーティハの育児ストレス軽減のため、子猫たちがある程度成長するまでは居間で寝たほうがよいと判断したのだ。
育児支援キャンペーン(?)である。
それ以来、敵猫(?)が入って来られないよう、夜は窓の網戸をしっかり閉めてから居間のソファーで寝て、朝方ファーティハが外に出たがったときだけ開けてあげるようにした。
ファーティハは夜中の間、授乳するとき以外は大体廊下で寝ており、朝方4時か5時頃に外出したがることが多かった。
外に出たいとき、ソファーの下から私に向かって「みゃあ(開けて)!」と大きな声で一声鳴くので、絶対目が覚める。
このようにして、うちにはまた平和が戻ってきた。
おかげで私は睡眠不足だったが、幸い仕事の勤務時間が短いので、特に生活に差し障りはなかった。
よかった、楽な仕事で…。
戸棚時代の子猫たち
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戸棚時代の授乳風景
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ソファー下時代 授乳してない時も、見張り番をするファーティハ
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