イエメン男たちが腰に差している三日月刀は、ジャンビーヤという名前である。
ガイドブック(1996年版のロンリープラネット)によると、ジャンビーヤはイエメンだけでなく、アラビア半島の他の地域でもみられる伝統的な男性用装身具であり、本人の職業や出身部族での地位などによって、形の曲がり具合や、腰に差す位置が微妙に異なるらしい。つまり社会的機能を備えているのだ。
腰に刀を差してる人がいっぱいいる!江戸時代みたい!「切捨て御免」だったらどうしよう!と、最初私はびくびくしていたが、友達の話では、鞘の中の刀には実は刃が付いておらず(または付いていても研がれていない)、トマトさえ切れない、ということなので安心した。豆腐くらいなら無理やり切れるだろうけどね。要するにこれは、純粋な飾りなのである。後にジャンビーヤ屋さんで、実際に確かめる機会を得たが、やっぱり刃がなかった。値段は忘れたが、帯とセットで購入しても、数千円だったと記憶している。お土産に手ごろな値段である。そりゃそうよね、すごく高かったら、イエメン人に買えるわけないもんね。
しかし腰にこんなものをぶら下げていたら、重いんじゃないだろうか。それに、短刀とはいえ、用を足すときに邪魔にならないのか?
気になったので、帯刀者にさりげなく質問してみたが、「別に重くないし、トイレでもぜんぜん邪魔じゃない」との返事であった。まあ毎日のことで慣れているから、気にならないのだろう。
先端がくいっと曲がった、どこかコミカルな形状といい、体の正面にぶら下げるところといい、ジャンビーヤは「男根の象徴」以外の何者でもないと思うのだが、さすがにそれについてイエメン人に質問するのもはばかられ、そのままになってしまったのが、少し心残りである。
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