今や大人も子供もみんな携帯電話を持つ時代。
私が若かった頃も(今から30年くらい前?)携帯電話があったが、カバンくらいの大きさで肩から提げるのが「携帯電話」だった。
もちろん個人で携帯電話を持っている人は無く、あれはあくまでも仕事用だった。
それがどんどん小さくなり、カバンサイズがポケットサイズになってしまった。
本当にすごい時代になったと思うが、小さくて便利になった代わりに落としやすくなったのではないかと思う。
ところで我が家の家族もみんな一人ずつ携帯電話を持っているので、もうほとんど家の固定電話を使うことがなくなった。
そして、外から固定電話にかかってくるのもずいぶん少なくなったかもしれない。
ところが、昼間に珍しく固定電話が鳴った。
出てみると、ひとり暮らしをしている長男パインだった。
なぜ固定電話に?と思ったら、慌てた様子のパインが「スマホを落とした」と言う。
ズボンのポケットに入れたつもりが無くなっていたそうだ。
「今から探しに行くから、スマホの利用を止めておいて」と言ってパインが電話を切ったので、たまたま家に居た夫が携帯電話会社に連絡をして、パインのスマホを止めることにした。
こういう時、携帯電話がないのは本当に不便だと思う。
パインに連絡したくても連絡の術がない。
とりあえず夫が携帯電話会社のHPからパインの携帯電話の使用を止めようと奮闘しているのを見ながら、私は「パインの携帯に電話をしてみよう」と思いついた。
良い人が拾ってくれたらいいのだけど・・・と思いながらパインの携帯に電話をすると呼び出し音は鳴るものの、相手が出ることなく切れてしまう。
今は個人情報の保護というのもあるし、拾った携帯電話が鳴っても出ないのかなぁと思いながら、三度目くらいの挑戦をしていた時、突然「はい」という返事がして相手がでた。
突然、相手が出たことに動揺しつつも「電話を拾って下さったんですね!ありがとうございます」とお礼を言ってから「それ息子のものなのですが、警察に届けていただけないでしょうか」とお願いすると、電話の相手は「もう言いましたから、大丈夫です」と言った。
相手は女性だったが、話し方からして幼い子供なのだろうかと思った。
どうも話し方がたどたどしい。
「言ったというのは警察にでしょうか?」と聞くと「いえ、本人です」と言うので、私にはよく理解できなかった。
本人と言っても、たった今パインが慌てて電話をしてきたばかりで、そんなことがあるのだろうか?
いろいろ話を聞こうとしたが、相手の人が私の話をあまり分かっている様子がなく、また私も相手の話す言葉が理解できなかった。
かみ合わない会話を続けていたら、「ワタシ、留学生デス」という言葉が聞こえてきて、やっと相手の方がパインと同じ大学に通う留学生だと分かった。
「イマ、アルバイト中ダカラ、アトデ返します」と言うので、私はてっきりその留学生がアルバイト中なのかと思ったが、実はパインがアルバイトをしている日だったと後で知った。
パインがスマホを返してもらえば、きっとパインの方から電話が来るだろうと思って待っていたが、夜9時を過ぎてもパインから電話が来なかった。
あまり遅いのでパインのスマホに「電話はどうした?」とメールをしてみたら、しばらくしてから返信が来た。
「まだです。たぶんまだアルバイトです。少々おまちください」
以上のような内容の返事だったので、パインにまだスマホが戻っていないことが分かった。
スマホを拾ってくれた人からメールの返事が来てまもなく、また家の固定電話が鳴り、それはパインからだった。
「今、警察にいるんだ。電話の紛失届けを出してる」と言う。
ん?パインはスマホを拾ってもらったことを知らないの?
なんだか訳がわからなかった。
スマホを拾ってくれた人が、パインを待っていることを伝えると、「どうして自分が今日バイトしていることを知っているんだろう?」と不思議そうだったが「自分の携帯に電話をしてみるよ」と言って電話が切れた。
それから小一時間ほどして、パインから無事にスマホが戻ってきたと連絡があった。
大学の前で待ち合わせをしてスマホを返してもらったそうだ。
相手は同じ大学の留学生で、中国から来た女性だったそうだが、パインとは面識はない人だったとか。
夜10時を過ぎていたにもかかわらず、暗い中をわざわざ大学前までスマホを届けに来てくれたとか。
「お礼はしたの?」と聞くと「お礼にすこしお金を払おうとしたら、絶対に受け取らないんだ。でも良い人に拾ってもらってよかった」と言う。
「でも、やっぱりお礼はしたほうがいいよ。お菓子でもいいから買って、あとで持って行きなさい」と言って電話を切ったが、なんだかホッとしたのと同時にどっと疲れが出たような気がした。
それにしても、良い方が拾ってくれて本当によかった。
これからは、パインもすこしは気をつけるようになるだろうか。
そうそう、なぜ留学生の女性が、パインがアルバイトをしていることを知っていたのかというと、パインが落としたスマホを探していた時、パインのアルバイト先の人がパインのスマホに電話をかけたそうだ。
「来るのが遅いがどうした?」という電話だったそうだが、なんせ留学生は日本語がうまく話せないので、話がかみ合わなかったらしい。
留学生は電話の相手をパインだと思いこみ、アルバイト先の人はパインがスマホを落としたことを理解できていなかったようで、仕事に行ったパインには何も言っていなかったそうだ。
パイン、留学生、アルバイト先の人、三人の話がかみ合わないまま、パインはスマホが拾われている事を知らずに警察に行ったというわけだったらしい。
もしも私がパインのスマホに電話をしていなかったら、どうなっていたのだろうと思う。
中国人の留学生はパインからの連絡を待ち続け、パインはそんな事も知らず警察で紛失届けを出し、まだスマホは戻っていなかっただろうと思う。
こうして無事に話が繋がって本当によかったと思うと同時に、多くの事に感謝せずにはいられなかった。
私が若かった頃も(今から30年くらい前?)携帯電話があったが、カバンくらいの大きさで肩から提げるのが「携帯電話」だった。
もちろん個人で携帯電話を持っている人は無く、あれはあくまでも仕事用だった。
それがどんどん小さくなり、カバンサイズがポケットサイズになってしまった。
本当にすごい時代になったと思うが、小さくて便利になった代わりに落としやすくなったのではないかと思う。
ところで我が家の家族もみんな一人ずつ携帯電話を持っているので、もうほとんど家の固定電話を使うことがなくなった。
そして、外から固定電話にかかってくるのもずいぶん少なくなったかもしれない。
ところが、昼間に珍しく固定電話が鳴った。
出てみると、ひとり暮らしをしている長男パインだった。
なぜ固定電話に?と思ったら、慌てた様子のパインが「スマホを落とした」と言う。
ズボンのポケットに入れたつもりが無くなっていたそうだ。
「今から探しに行くから、スマホの利用を止めておいて」と言ってパインが電話を切ったので、たまたま家に居た夫が携帯電話会社に連絡をして、パインのスマホを止めることにした。
こういう時、携帯電話がないのは本当に不便だと思う。
パインに連絡したくても連絡の術がない。
とりあえず夫が携帯電話会社のHPからパインの携帯電話の使用を止めようと奮闘しているのを見ながら、私は「パインの携帯に電話をしてみよう」と思いついた。
良い人が拾ってくれたらいいのだけど・・・と思いながらパインの携帯に電話をすると呼び出し音は鳴るものの、相手が出ることなく切れてしまう。
今は個人情報の保護というのもあるし、拾った携帯電話が鳴っても出ないのかなぁと思いながら、三度目くらいの挑戦をしていた時、突然「はい」という返事がして相手がでた。
突然、相手が出たことに動揺しつつも「電話を拾って下さったんですね!ありがとうございます」とお礼を言ってから「それ息子のものなのですが、警察に届けていただけないでしょうか」とお願いすると、電話の相手は「もう言いましたから、大丈夫です」と言った。
相手は女性だったが、話し方からして幼い子供なのだろうかと思った。
どうも話し方がたどたどしい。
「言ったというのは警察にでしょうか?」と聞くと「いえ、本人です」と言うので、私にはよく理解できなかった。
本人と言っても、たった今パインが慌てて電話をしてきたばかりで、そんなことがあるのだろうか?
いろいろ話を聞こうとしたが、相手の人が私の話をあまり分かっている様子がなく、また私も相手の話す言葉が理解できなかった。
かみ合わない会話を続けていたら、「ワタシ、留学生デス」という言葉が聞こえてきて、やっと相手の方がパインと同じ大学に通う留学生だと分かった。
「イマ、アルバイト中ダカラ、アトデ返します」と言うので、私はてっきりその留学生がアルバイト中なのかと思ったが、実はパインがアルバイトをしている日だったと後で知った。
パインがスマホを返してもらえば、きっとパインの方から電話が来るだろうと思って待っていたが、夜9時を過ぎてもパインから電話が来なかった。
あまり遅いのでパインのスマホに「電話はどうした?」とメールをしてみたら、しばらくしてから返信が来た。
「まだです。たぶんまだアルバイトです。少々おまちください」
以上のような内容の返事だったので、パインにまだスマホが戻っていないことが分かった。
スマホを拾ってくれた人からメールの返事が来てまもなく、また家の固定電話が鳴り、それはパインからだった。
「今、警察にいるんだ。電話の紛失届けを出してる」と言う。
ん?パインはスマホを拾ってもらったことを知らないの?
なんだか訳がわからなかった。
スマホを拾ってくれた人が、パインを待っていることを伝えると、「どうして自分が今日バイトしていることを知っているんだろう?」と不思議そうだったが「自分の携帯に電話をしてみるよ」と言って電話が切れた。
それから小一時間ほどして、パインから無事にスマホが戻ってきたと連絡があった。
大学の前で待ち合わせをしてスマホを返してもらったそうだ。
相手は同じ大学の留学生で、中国から来た女性だったそうだが、パインとは面識はない人だったとか。
夜10時を過ぎていたにもかかわらず、暗い中をわざわざ大学前までスマホを届けに来てくれたとか。
「お礼はしたの?」と聞くと「お礼にすこしお金を払おうとしたら、絶対に受け取らないんだ。でも良い人に拾ってもらってよかった」と言う。
「でも、やっぱりお礼はしたほうがいいよ。お菓子でもいいから買って、あとで持って行きなさい」と言って電話を切ったが、なんだかホッとしたのと同時にどっと疲れが出たような気がした。
それにしても、良い方が拾ってくれて本当によかった。
これからは、パインもすこしは気をつけるようになるだろうか。
そうそう、なぜ留学生の女性が、パインがアルバイトをしていることを知っていたのかというと、パインが落としたスマホを探していた時、パインのアルバイト先の人がパインのスマホに電話をかけたそうだ。
「来るのが遅いがどうした?」という電話だったそうだが、なんせ留学生は日本語がうまく話せないので、話がかみ合わなかったらしい。
留学生は電話の相手をパインだと思いこみ、アルバイト先の人はパインがスマホを落としたことを理解できていなかったようで、仕事に行ったパインには何も言っていなかったそうだ。
パイン、留学生、アルバイト先の人、三人の話がかみ合わないまま、パインはスマホが拾われている事を知らずに警察に行ったというわけだったらしい。
もしも私がパインのスマホに電話をしていなかったら、どうなっていたのだろうと思う。
中国人の留学生はパインからの連絡を待ち続け、パインはそんな事も知らず警察で紛失届けを出し、まだスマホは戻っていなかっただろうと思う。
こうして無事に話が繋がって本当によかったと思うと同時に、多くの事に感謝せずにはいられなかった。