ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

いくらやっても後悔するかも

2014-12-24 12:34:51 | 介護
今朝、お姑さんが「夢を見た」と話をしてくれた。

夢の中にお姑さんの父親が出てきたそうだ。

お姑さんのお父さんは、歳をとってから歩く時に身体を横に揺するようにしてゆっくりと歩いていたそうだ。

亡くなったお父さんが身体をゆすって歩いている夢だったそうだが、夢を見たあともずっと父親のことを思い出していると言った。

「父は優しい人でけっして怒らなかった。私が母親に叱られていると、よくかばってくれた。だから父が戦争から帰ってきた時は本当に嬉しかったぁ」

なつかしそうに父親の話をするお姑さんの顔は、もう87歳の老婆ではなく小さな女の子のようになっていた。

「私は父親の言う事はなんでも言うとおりにしたの。でもいなくなると、もっと色々なことをしてあげればよかったと後悔ばかりしている。だから、あなたもお父さんを大事にしてあげて」

そう言ってお姑さんは涙をぬぐった。

「お父さんを大事にしてあげて」とは、高齢者住宅にいる私の父の事だ。

私がたまに父の所に行くので、お姑さんはそのように言ってくれたのだ。

ところで先日は父を連れて、父が元気だった頃によく一人で行っていたというお寿司屋さんへ行った。

すっかり出不精になった父なので、もしかしたら行かないというかもしれないと思ったが、珍しく「行きたい」と言ったので連れて行った。

高齢者住宅に父を迎えに行くと、父はすでに身支度を整えて待っていてくれた。

「体調はどう?」と聞きながら、父の顔色を確認する。

顔色はまあまあかな。

とりあえずバッグの中にはビニールの袋を用意してきた。

最近、父は歩くと吐くようになった。

店までは車だが、それでも多少は歩かなければいけないので、父と一緒の時は必ずビニール袋を持つようにしている。

車の中でも「大丈夫?気分は悪くない?」と何度も聞きながら行ったが、「大丈夫だ」と言う父の顔色は悪くなかった。

途中で妹たちとも合流して、皆でお店に行ったのだが、最近、食が細くなってきた父が、お寿司を美味しそうに全部平らげていた。

みんなで食事をしながらしている会話を父もにこにこと聞いていた。

さて食後しばらく時間を置いてから、また父を高齢者住宅に送って行くことになったが、片道15分くらいの車中で父が歯をカチカチし始めた。

カチカチカチ・・・

これが始まるってことは、具合が悪いってことだ。

父の顔色がすこし悪くなってきたように見える。

「大丈夫だ」と父は言うが、あまり大丈夫ではないのかもしれない。

やっと高齢者住宅に着き、廊下を歩いて父の部屋の向かう途中から急に父の具合が悪くなってしまった。

食べ物は吐き出さないものの、時々吐き気がくるようで何度も立ち止まる。

身体を支えながらなんとか部屋の中に入ったが、もう限界だったようで食べ物を吐き出してしまった。

父が吐く前にビニール袋を用意していたので部屋は汚さずにすんだが、たべたお寿司は全部出してしまった。

「どうしてこうなるのかなぁ」と悔しそうに言う父に何と言ってあげたらよいのか分からなかった。

「ゆっくり休んで」と言ってベッドに寝かせた。

私は6歳で病気になり半年以上も学校を休んで入院していたが、中学生で完治するまで定期的に通院しなければいけなかった。

病院はいつも父が連れて行ってくれたが、病院帰りに街のレストランで食事をしてアイスクリームを食べさせてもらうのが楽しみだった。

そんな病弱だった私に父はいつもこう言った。

「なんだか顔色が悪いぞ。具合悪くないか?」

ヒョロヒョロのやせっぽっちで、いつも青白い顔をしていた私を心配してくれた父だったが、いつの間にか立場が反対になってしまった。

87歳のお姑さんが今も父親にしてあげたかったことを思って後悔しているように、きっといくらやっても親の死後に後悔することになるんだろうなぁ。

親孝行いくらやっても物足りず











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