昨夜、やっと次女ピーチがこれから4年間住むことになる関東地方から帰ってきた。
行きはピーチと二人で、そして帰りは私一人で。
ピーチの住まいを整えて入学式に出てきた。
あとはピーチが新しい環境に早く慣れて、大学生活を充実したものにしてくれることを祈るのみだ。
今回は札幌を出発してから帰宅まで、ずっと雨・雨・雨。
雨ばかりが降っていた。
まず出発当日は、前日までの良いお天気とはがらりと変わって、朝から雷鳴が鳴り響いていた。
厚い雲に覆われた空から冷たい雨がパラパラと落ちてきて、それまで考えないようにしていた見知らぬ遠い土地へ行くことの不安が少しずつ胸の中に広がっていくようだった。
たぶんそれはピーチも同じだったようで、いつもより口数が少なくなっていたが、お互いに口には出さず飛行機に乗った。
羽田までのフライトは思っていたほど揺れが少なく快適だった。
さて羽田についてから、詳しくは書けませんが、いろいろ乗り継いで目的地まで行かなければいけない。
一度アパートを探しに来たことがあるピーチに付いていけばいいと思っていたら「う~ん、これでよかったと思うけど自信ない」と言う。
今日はピーチがいるから大丈夫だと思っていたが、なんとも頼りない言葉に愕然となる。
「えっ、お母さんだって分からないのにどーすんのっ?」と焦ってしまった。
羽田には過去に何度か降りたことはあるが、いつも夫や友人がいてくれたので、私はついて行けばよかった。
だから、ピーチを連れて初めての土地まで辿り着くことができるのか自信がない。
「方向音痴」と辞書で引けば、私の顔写真が出てくるかも知れないというほどの方向音痴の私だが、ここは母親の自分がしっかりしなければいけない。
上からぶら下がっている案内板を頼りに進んでいくしかない。
覚悟を決めて案内板を頼りに、ずっと上ばかり見ていたので首が痛くなったが、「これでいいのか」と何度も確認しながら進んでいったら、なんとかこれからピーチの住むことになる街に着いた。
さ~て、ここからピーチの借りたアパートの部屋まで行かなければならない。
これがまた大変で、バスがあまり通っていない街だとか・・・
バスはあることはあるので、まあなんとかなるでしょと思っていたら電話が鳴った。
アパートを仲介してくれた不動産屋さんだった。
「分かりにくいでしょうから、車でお迎えに上がります」とのことだった。
まさに渡りに船!
即答で「お願いしますっ」と遠慮もせずに乗せてもらうことにした。
ところで、この渡りに船の不動産屋さんもそうだが、今回は本当にたくさんの見知らぬ方に助けられた旅だった。
この街は狭い道が多く、道が入り組んでいて、単純で分かりやすい道路が多い北海道から行くと「ここは巨大迷路か?」と思うくらい分かりにくかった。
一応、簡単な地図は持っていたが、なんせ方向音痴なので、地図を見てもよく分からないことが多く、道行く地元の人を呼び止めて教えてもらうことにした。
するとこんなに親切に教えてもらって申し訳ないというくらい、どの方もみんな親切丁寧に教えて下さった。
中にはわざわざ家から地図まで持ってきて、地図を広げて丁寧に教えてくれた。
そして「その地図をあげるから持って行きなさい」とおっしゃってくれる。
驚いたことに、そうやって地図を見せて教えてくれる方々が一人ではなく何人もいて、せっかくのご厚意なのですべて頂いていたら、カバンの中は街の地図で一杯になった。
他にも道を教えて下さった上にオススメのお店まで教えてくれた方がいた。
「女の子(ピーチのこと)が一人で入って、安心してご飯食べられる店があるの。食事も美味しいし、パンも売っていて美味しいの。私パンを買うことにするから教えてあげる」と言って、本当はパンを買う予定が無かったのにお店まで連れて行ってくれた年配の女性がいた。
犬を散歩させていた若い女性は、わざわざ犬の散歩コースを変えて私と一緒に歩いて道を教えてくれた。
ご近所に住んでいる老夫婦にゴミの捨て方を聞いたら、丁寧に教えてくれた上に「なにか困ったことがあったら、いつでもうちにおいで」とピーチに向かっておっしゃってくださった。
社交辞令だとしても、そのように言って頂けるのはなんとうれしい事か。
地元の神社にご挨拶のお参りをして帰ろうとしたら、向かいの家のおじいさんがにこにこしながら立っていて、ご挨拶をしたら、この辺りの歴史など興味深い昔のお話を聞かせて頂く事ができた。
それから犬を連れた私と同年代の女性と出逢い、犬のことから話が弾んでわずかな時間の立ち話だったが楽しい時間をすごす事ができた。
そして、もうひとつ、「渡りに船」ならぬ「地獄に仏」の救われたような気持ちになった出来事があった。
それは先に不動産屋さんが渡りの船を出してくれたことを書いたが、まるで天の助けと思われるようなタイミングでタクシーが現れるという出来事だった。
ピーチを学校に残し、ひとりで大学からアパートへ帰ることにしたのだが、また迷路のような道に迷い込んでしまった。
周囲は畑が続き、車一台がやっと通れるくらいの細い道。歩いている人もいない。
新しい靴が痛いと言うピーチと靴を交換してきたのだが、やはりものすごく足が痛い。
じんじんとした痛みが襲ってくる。
悪いことに、また雨が降り出してきてしまったが、私は傘を持ってきていなかった。
どうしよう、こんなに足が痛いんじゃアパートを探しながら帰るなんてできないかもしれない。
足は痛いし、雨は降ってくるしで、泣きたくなるような気持ちでよく分からない道を歩いていたら、なんと突然向かい側からタクシーが現れた!
これは嘘みたいだが、本当のはなし。
まさかこんな田舎の細い道に空車のタクシーが来るなんて信じられなかった。
タクシーに乗り込んで住所を言うと、実はアパートはもう近かったらしいのだが、運転手さんは嫌な顔一つせず笑顔で送って下さった。
この街にいる間、天候が悪く雨が降って、思っていたよりずっと寒くて震えていたのだが、出逢った人の心はみんな暖かかった。
そして、見知らぬ人に親切にして頂くたびにいつも心の中に歌のフレーズが浮かんだ。
「あったかいんだからぁ~♪」
札幌を出発する時に胸の中に広がっていた不安な気持ちが、どんどん無くなっていく様な気がした。
行きはピーチと二人で、そして帰りは私一人で。
ピーチの住まいを整えて入学式に出てきた。
あとはピーチが新しい環境に早く慣れて、大学生活を充実したものにしてくれることを祈るのみだ。
今回は札幌を出発してから帰宅まで、ずっと雨・雨・雨。
雨ばかりが降っていた。
まず出発当日は、前日までの良いお天気とはがらりと変わって、朝から雷鳴が鳴り響いていた。
厚い雲に覆われた空から冷たい雨がパラパラと落ちてきて、それまで考えないようにしていた見知らぬ遠い土地へ行くことの不安が少しずつ胸の中に広がっていくようだった。
たぶんそれはピーチも同じだったようで、いつもより口数が少なくなっていたが、お互いに口には出さず飛行機に乗った。
羽田までのフライトは思っていたほど揺れが少なく快適だった。
さて羽田についてから、詳しくは書けませんが、いろいろ乗り継いで目的地まで行かなければいけない。
一度アパートを探しに来たことがあるピーチに付いていけばいいと思っていたら「う~ん、これでよかったと思うけど自信ない」と言う。
今日はピーチがいるから大丈夫だと思っていたが、なんとも頼りない言葉に愕然となる。
「えっ、お母さんだって分からないのにどーすんのっ?」と焦ってしまった。
羽田には過去に何度か降りたことはあるが、いつも夫や友人がいてくれたので、私はついて行けばよかった。
だから、ピーチを連れて初めての土地まで辿り着くことができるのか自信がない。
「方向音痴」と辞書で引けば、私の顔写真が出てくるかも知れないというほどの方向音痴の私だが、ここは母親の自分がしっかりしなければいけない。
上からぶら下がっている案内板を頼りに進んでいくしかない。
覚悟を決めて案内板を頼りに、ずっと上ばかり見ていたので首が痛くなったが、「これでいいのか」と何度も確認しながら進んでいったら、なんとかこれからピーチの住むことになる街に着いた。
さ~て、ここからピーチの借りたアパートの部屋まで行かなければならない。
これがまた大変で、バスがあまり通っていない街だとか・・・
バスはあることはあるので、まあなんとかなるでしょと思っていたら電話が鳴った。
アパートを仲介してくれた不動産屋さんだった。
「分かりにくいでしょうから、車でお迎えに上がります」とのことだった。
まさに渡りに船!
即答で「お願いしますっ」と遠慮もせずに乗せてもらうことにした。
ところで、この渡りに船の不動産屋さんもそうだが、今回は本当にたくさんの見知らぬ方に助けられた旅だった。
この街は狭い道が多く、道が入り組んでいて、単純で分かりやすい道路が多い北海道から行くと「ここは巨大迷路か?」と思うくらい分かりにくかった。
一応、簡単な地図は持っていたが、なんせ方向音痴なので、地図を見てもよく分からないことが多く、道行く地元の人を呼び止めて教えてもらうことにした。
するとこんなに親切に教えてもらって申し訳ないというくらい、どの方もみんな親切丁寧に教えて下さった。
中にはわざわざ家から地図まで持ってきて、地図を広げて丁寧に教えてくれた。
そして「その地図をあげるから持って行きなさい」とおっしゃってくれる。
驚いたことに、そうやって地図を見せて教えてくれる方々が一人ではなく何人もいて、せっかくのご厚意なのですべて頂いていたら、カバンの中は街の地図で一杯になった。
他にも道を教えて下さった上にオススメのお店まで教えてくれた方がいた。
「女の子(ピーチのこと)が一人で入って、安心してご飯食べられる店があるの。食事も美味しいし、パンも売っていて美味しいの。私パンを買うことにするから教えてあげる」と言って、本当はパンを買う予定が無かったのにお店まで連れて行ってくれた年配の女性がいた。
犬を散歩させていた若い女性は、わざわざ犬の散歩コースを変えて私と一緒に歩いて道を教えてくれた。
ご近所に住んでいる老夫婦にゴミの捨て方を聞いたら、丁寧に教えてくれた上に「なにか困ったことがあったら、いつでもうちにおいで」とピーチに向かっておっしゃってくださった。
社交辞令だとしても、そのように言って頂けるのはなんとうれしい事か。
地元の神社にご挨拶のお参りをして帰ろうとしたら、向かいの家のおじいさんがにこにこしながら立っていて、ご挨拶をしたら、この辺りの歴史など興味深い昔のお話を聞かせて頂く事ができた。
それから犬を連れた私と同年代の女性と出逢い、犬のことから話が弾んでわずかな時間の立ち話だったが楽しい時間をすごす事ができた。
そして、もうひとつ、「渡りに船」ならぬ「地獄に仏」の救われたような気持ちになった出来事があった。
それは先に不動産屋さんが渡りの船を出してくれたことを書いたが、まるで天の助けと思われるようなタイミングでタクシーが現れるという出来事だった。
ピーチを学校に残し、ひとりで大学からアパートへ帰ることにしたのだが、また迷路のような道に迷い込んでしまった。
周囲は畑が続き、車一台がやっと通れるくらいの細い道。歩いている人もいない。
新しい靴が痛いと言うピーチと靴を交換してきたのだが、やはりものすごく足が痛い。
じんじんとした痛みが襲ってくる。
悪いことに、また雨が降り出してきてしまったが、私は傘を持ってきていなかった。
どうしよう、こんなに足が痛いんじゃアパートを探しながら帰るなんてできないかもしれない。
足は痛いし、雨は降ってくるしで、泣きたくなるような気持ちでよく分からない道を歩いていたら、なんと突然向かい側からタクシーが現れた!
これは嘘みたいだが、本当のはなし。
まさかこんな田舎の細い道に空車のタクシーが来るなんて信じられなかった。
タクシーに乗り込んで住所を言うと、実はアパートはもう近かったらしいのだが、運転手さんは嫌な顔一つせず笑顔で送って下さった。
この街にいる間、天候が悪く雨が降って、思っていたよりずっと寒くて震えていたのだが、出逢った人の心はみんな暖かかった。
そして、見知らぬ人に親切にして頂くたびにいつも心の中に歌のフレーズが浮かんだ。
「あったかいんだからぁ~♪」
札幌を出発する時に胸の中に広がっていた不安な気持ちが、どんどん無くなっていく様な気がした。