ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

いい事みっけ

2015-06-23 15:23:17 | 介護
今、庭のバラが次々と美しい花を咲かせている。

花はなんでも好きだが、とりわけて好きなのがバラ。

バラは美しいだけではなく香りも良い。

バラの美しい花と芳しい香りに「癒される」というよりも、ときめきを感じる。

そんな大好きなバラだが、これがなかなか手の掛かる植物で、他の植物にはほとんど使わないが、バラだけは殺虫剤と消毒薬は必須で、すこしでも異変を見つけるやいなや、薬を持って飛んでいかなければならない。

バラの管理は早期発見と早期の処置が鉄則だそうで、放っておくと、どんどん病害虫の被害が拡大してしまう。

また、バラは手入れをする時に注意をしないと、鋭い棘で怪我をしてしまうこともある。
私も何度血を流したことか・・・

でも、いくら手間がかかろうと怪我をしようと、一度バラの美しさに魅了されてしまうと、育てるのは止められませんね。

もしかして、美しいけれど、手が焼けて危険な女性に恋をしてしまった男性は、こういう気持ちになるのでしょうか。

な~んて、男じゃないので、よく分かりませんが。

そんなわけで、庭から切ってきたバラを家の中に飾って楽しんでいる。

バラの良い香りが部屋の中に漂って、幸せな気持ちになる。





良い香りと言えば、日が落ちてくると、周囲の森林の香りが日中よりも強く感じるのだが、清々しい森林の香りに混じって、シロツメクサの香りが漂ってくることがある。

バラの芳醇な香りとは違った、もっと素朴で甘い香り。

いや~危険で美しいバラもいいけど、素朴なシロツメクサもいいもんですね。

香水にするなら、シロツメクサの方がいいかなぁ・・・とかなんとか。

こんなことささやかなことが、日常生活の中では嬉しい。

さて先日のこと。

高齢者住宅に父に会いに行ったが、父はどことなく気持ちが沈んでいるように見えた。

最近はいつもそうなのだが、ベッドに横たわったままで、いつもより口数が少なく、何を言っても、手を横に振って「拒否」の返事ばかりだった。

せっかくの歩行器もほとんど使っていない様子だった。

声をあまり出すこともなく、ほとんどを手で合図ばかりしているせいか、声がかすれていて、それがさらに父が弱ったように見せた。

「なにもいいことが無いな・・・」

ベッドに横たわったまま、唐突に父がそう言った。

それを聞いていた夫が横から「どこか行きたいところはないですか?また公園でも行きましょうか。気持ちがいいですよ」と、父を元気付けるように言ってくれた。

すると、父はまた手を横に振って「いや、行かない」という合図をした。

今、父の心の中には重苦しい大きな黒い塊があるのかもしれない。

やる気が起きない、身体がつらい、横になっていても何もいいことは起こらない・・・そんな気持ちなのだろうか。

「なんでもやってもらって、ありがたい。ここは天国だ」と、高齢者住宅に入った頃に言っていた言葉は、もう父の口からは出てこなくなった。

出てくるのは「食事がまずい」ということだけ。

私も食べさせてもらったが、父が言うほどまずくはなかったはずなのだけどなぁ。

確かに味付けは薄いが、まずくは無かった。

日中、何もせずに横になっていれば、お腹も空かないのだろう。

そして空腹感がないので、食事も美味しくないのだろうと思う。

「なにもいい事が無い」という父に、本当は言いたかった。

「誰だって、そんなにいいことばかりは無いよ。
50歳そこそこで死ななければいけなかったお母さんから見たら、お父さんは84歳まで生きられていいな~って思っているかもしれないし。
でも自分がそう思えば、いい事はたくさんあるんだから」

昔、私が書いていたブログ名は「みんな幸せになろうね」だった。

これは、私に悩みがあって、それをなんとか乗り越えたい、幸せになりたいという気持ちからつけた。

今はわかる。

幸せになろうねというのは間違っていた。

もうすでに幸せだった。

そこらじゅうに幸せやいい事が転がっていたのに、私はたったひとつの事に執着して、それが自分の思い通りにいかないことで、幸せではないと言う思いに囚われていた。

今はたくさんのいいことを見つけられる。

大好きなバラが綺麗に咲いた、シロツメクサの甘い香りを嗅げた、家族も知人も元気に暮らせている、ご飯が食べられる、雨露がしのげて、ふかふかの布団で眠ることができる・・・

数え切れないくらいのいい事ばかりなのに、時々それを忘れてしまって暗い穴の中に落ちて行くような気分の時もある。

今の父がそうなのかもしれない。

見回せば、たくさんのいい事があるのに。

そんなことを、また父が思い出すようにさせてあげたいなぁ。






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