ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

泣くこと

2016-05-06 17:08:29 | 介護
月に一度程度だが、メールでお互いの安否確認?をしている友だちがいる。

中学1年の時からの付き合いだから、かれこれ40年以上の付き合いになるだろうか。

高校から離ればなれになったが、それでも細々と付き合いは続いて今日まで来た。

彼女は20代前半で結婚して本州に行ってしまったのだが、たまに帰省した時には会い、そして電話でも年に何度かは話をしていた。

話題はお互いの子どものことや自分自身の近況などだったが、いつしか年月が経つにつれ親の介護の話題が多くなった。

私も実の父やお姑さんの介護があり、彼女は一人娘だったので、数年前に近くに呼び寄せたご両親の介護をしていた。

友人のご両親はまだお元気で、二人だけで生活をしていると聞いていたのだが、一か月ほど前、友人からのメールでお父さんが亡くなったとの知らせを受けた。

なぜ亡くなったのか、その理由は書いていなかったが、ただ淡々と亡くなったとの知らせが書かれていた。

お悔やみの返事を出し、きっと彼女も忙しいだろうと思い、しばらく連絡は控えていたのだが、数日前に友人から「電話で話せる日時を教えて」とメールがあった。

「今でもいいよ」と返信をしたら、すぐに電話が来た。

思ったより元気な声で、お父さんのこれまでの病状などを教えてくれた。

友人の話によると、ある時から急にお父さんにふらつきが見られるようになったそうだ。

受診した病院で調べてもらっても脳や身体に異常は見つからず、「もう高齢だから仕方がない」と言われたそうだ。

友人のお父さんは90歳を過ぎていて、そのように言われるとそうなのかしらと友人も思っていたそうだが、そのうちに顔面の麻痺や手足のしびれなどが現れ、病状はあっという間に悪くなっていったのだとか。

そして「これはおかしい」と再び検査をしてもらったところ、脳の中にかなり大きくなった腫瘍が見つかったそうだ。

腫瘍は短い期間に大きく育ったらしく、年齢もあって手術はできず、手の施しようがない状態だったという。

お父さんはそれからどんどん衰弱していかれ、ほぼ寝たきりで食事が口から取れなくなったが、意識ははっきりとしていたので「口からごはんが食べたいなぁ」としきりにおっしゃっていたと、友人は涙声で教えてくれた。

実は友人のお父さんと同じように高齢者で「腫瘍が急に大きくなった」という話は、友人の話を聞く数日前に久しぶりに訪ねて来た親戚からも同じような話を偶然にも聞いていた。

親戚の女性は80代だが、足の付け根にできた出来物が短期間に急に大きくなり、慌てて病院に行ったところ悪性の腫瘍であったそうだ。

幸い親戚は手術で取り除くことができたが、歩くのもやっとといった状態でつらそうだった。

「なぜもっと早く病院に行かなかったの?」と聞いたところ、本当に短い時間で急に大きくなってしまったそうだ。

高齢になると腫瘍などの進行は遅くなると思っていたが、実はそうでもなかったということを知った。

さて友人との電話だが、残り少ない命になったお父さんの介護を精一杯しようと毎日病院へ通って一生懸命にお世話をしたそうだが、やはり亡くなってみると、どんなに介護をしたつもりでも後悔の気持ちばかりが出てくると言っていた。

「もっとこうしたほうが良かったのではないか?ほかにやってあげられることがあったのではないだろうか?」

そんなことばかり考えると言って友人は泣いた。

電話口でしゃくりあげながら泣く友人に、そばに居たら背中を撫ぜてあげたかったが、電話ではそれもできないので、ただひたすら友人の想いを受け止める気持ちで友人の声に耳を澄ませていた。

いくら長生きだったと言われても、親の死はいくつになっても悲しいものだ。

ましてや友人は、子どもの頃からお父さんが大好きだったのだそうだ。

ひとしきり泣いたあと、友人の声は心なしか元気になっていた。

「これからしなければいけないことが山のようにあるから頑張るわ!」と言って、最後は明るく電話を切った。

「泣く」と言うことはけっして悪いことではない。

実は泣くというのは笑うことと同じ効果があるのだとか。

泣くことで副交感神経が優位になり、血管が拡張して血圧が下がる。

泣くとホッとして心が和らぎ、爽快感が得られると言う。

だからいっぱい泣いて、友人もすこし元気になったのでしょう。

たまには子どものように思いっきり泣いてみるのもいいのかもしれないと思う。









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