ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

心のコップ

2019-05-28 15:59:57 | 日記

一年くらい会っていなかった友だちと会った。

一瞬、彼女とは思わなかったほど変わっていた。

ドイツ人の血をひくクオーターで、昔から振り返るほどの美人だった友人。

そんな彼女が、実年齢よりも10歳くらい年上に見えるほど老け込んでいた。

会っていなかった一年の間に何かあったのだろうかと心配になったら、彼女の方から「白髪頭で驚いたでしょ?美容院へ行く気も起きなくて、しばらく染めていないの」と教えてくれた。

確かに彼女の髪は白髪がずいぶん多くなっていたが、今はグレーヘアが流行っているので、私たちの年齢であれば白髪があっても特段おかしくはない。

それよりも老けたと思わせるものが、彼女の身体全体から感じられるようだった。なんだか彼女の心の中にあるコップの水が、一度空っぽになってしまったような、そんな気がした。

何かあったのだろうかと思いながら、お互いの近況を報告し合っていたのだが、彼女の同居していたお姑さんが、去年の暮れに亡くなったと教えてくれた。

私もお姑さんと同居していたので、今まで彼女と会えば老人のデイサービスや施設の情報交換をしたり、たまにお姑さんの愚痴も言い合ったりしていた。

でも最後は必ず二人で笑い話にして終わっていたので、実は精神を病んでしまうほど、彼女が苦しんでいたとは知らなかった。

もっと声をかけてあげればよかったと思う・・・

お姑さんから盗んでいないモノを盗んだと言われること(あら?どこかで同じことを聞いたような)。親戚の中には、それを真に受ける人がいて、親戚から責められたこと。

一生懸命に作った料理を、自分には言わず他の人たちに「大したものも作れないヨメ」と言っていたことにショックを受けたことなど、彼女の口から次々とつらかったことが語られた。

さらに悪いことに、お姑さんに対する不満を、唯一吐き出せることができる相手だったご主人が、突然病気になってしまったそうだ。

病気のご主人を支えながら、お姑さんの暴言に耐えて介護もしなければならず、彼女の心は限界だったが、その全てを自分の中に抱え込んで一人でがんばっていたようだ。

ところが、ある時から自分の意識が体から離れてしまうような感覚になったそうだ。

どこにいても、意識がふわふわと別の場所に飛んでいるような状態。「心、ここにあらず」という表現がぴったりだと思ったそうだ。

「精神科にも通ったの。薬はすごくよく効いたんだけど、あまりに効きすぎるから怖くなって、途中でやめちゃった。やっぱり自分で乗り越えるしかないんだって思ったから」と、健気に頑張っていた彼女の言葉に思わず涙が出た。

幸い、ご主人の病状も快方に向かっているそうで、彼女は少しずつ元気になってきている。

彼女の話を聞いていて、誰かのために頑張りすぎて疲れ果てている人のなんと多いことだろうかと思っていた。

うちの妹もしかり・・・家族の為に頑張り過ぎて疲れ果て、不平不満が口から出る。

やってあげたいと心から思ってすることが、自分の喜びならばこんなに素晴らしいことはないが、そうではなくて義務感だけでやるのなら、頑張り過ぎるのは疲れるだけだし、こんなにやってあげているのに相手は感謝もしない!という不満もでる。

特に日本では、自分のための利益(自利)よりも人のための利益(利他)のほうが美しいとされているので、ついつい相手の為に必要以上に頑張ってしまう。

でも、その前に、まずは自分のコップを幸せで満たさなければいけないのではないだろうか。

自分のコップが一杯ならば、誰かにその水をわけてあげることができる。誰かを幸せにすることができる。

でも自分のコップが空っぽな状態では、わけてあげるどころか「欲しい、欲しい」ということになる。

私も自分のコップが空っぽだった経験は幾多もあるので、それは容易に想像ができる。

自分のコップを満たすこと・・・(私の場合ですが)嫌なことを考え始めたら、自分を客観視して嫌な思考を止める。それから鏡に向かって、にっこりと笑う。

これが私にはけっこう効く。たいして面白いことがなくても鏡に向かってにっこり笑ってみると、徐々に嬉しさがこみ上げてきて、しまいにはガッツポーズをしたくなるほど嬉しくなることがある。単純と言われればその通りだが、本にも書いてあるほどなので効き目はあるらしい。

また時には、つらいと思うもの、悲しくなるものから、できることならば距離を置くのもいいものだと思っている。

でも、やはり最終的には感謝だなぁと思う。感謝の気持ちを持つと、自然とコップの水は満たされていく。

々と書いてしまったが、もちろん友人にはそのようなことは言わなかった。彼女は彼女なりに乗り越えて行くだろうと思う。そして、きっとまた若々しく輝くだろうと思っている。





 


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