長かった冬が終わり、茶褐色だった景色が一面新緑のライトグリーンに彩られると、もったいなくて家の中でじっとしていられなくなる。
北海道の夏は短い。庭に出て草取りをしたり、薔薇の剪定をしたり、これから植える苗の為に土を耕したりしている。
外に出ているとあっという間に時間が過ぎてしまうのだが、今年は庭仕事以外にも外でやりたいことがある。
それはサイクリング。
実は、ずっと欲しいと思っていた電動アシスト自転車を思い切って買ってしまった。と言っても、入荷待ちでまだ手元に届いていないのだが、寝ている時に夢で電動自転車に乗っているのを見たほど、いま楽しみにしている。
以前は、子どもが通学に使っていた普通の自転車に乗っていたのだが、なんせここは山の上のため、行きは風を切って楽々と下りて行けるのだが、帰りは上り坂が続くので地獄だった。
1メートルも行かないうちにギブアップして、仕方なく自転車を押しながら登ることになる。
ところが、自転車を押して青色吐息で登る私の横を、高校生の男の子が立ち乗りで坂道を登って行くではないの。見れば電動アシストではなくて、普通の自転車なのだが、私にはとてもじゃないけど無理・・・でも電動アシストならば、あの少年のように自転車で登って行けるのだろうか。
そんなわけで、自転車には乗りたいものの、帰りの事を考えると億劫で、出かける時はもっぱら車に頼る生活を送っていたのだが、昨年くらいから車の運転中に自分の注意力が落ちてきているなあと思うようになっていた。
昔なら運転していても、わずかな時間で周囲を確認できていたつもりだったが、昨年くらいから周囲を確認する時間が長くなったと思う。
もちろんゆっくり慎重に周囲を確認するのは大事なのだが、一瞬で前後左右を確認しなければならない状況の時、明らかに若い頃より動作が遅くなってきていると自覚し始めていた。
そのような中で、世間では高齢者の事故が多く取り上げられるようになり、ますます車を運転することが怖く感じられるようになった。
もともと私は、車の運転がそれほど好きじゃないので、車で行く必要が無い限り、できるだけ車には乗りたくない。
義理の兄が、昨年65歳で「この歳になって、加害者にはなりたくない」と言って、きっぱりと車を手放した気持ちが分かるような気がした。
しかし、車に乗らない事には行きたい所へ行けないので、それに代わる自転車、しかも坂道も楽に(?)登れるらしいという電動アシスト自転車が欲しかった。
自転車ならば、今まで駐車しづらそうと敬遠していた、あのパン屋さんにだって行くことができるし、あのお惣菜屋さんだって気楽に行けそうだ。
ちょっと遠いけど、いつも行く温泉だって行けるかも・・・でも帰りは汗だくになって、家でまたシャワーを浴びることになるかな。
あと、森の中だってサイクリングなら気楽に行けそうだ。万が一、熊さんに出会っても自転車なら速く逃げられそうだし・・・
電動アシスト付き自転車に乗ることを想像するだけで夢は広がる。
絵本を描きながら広大な庭を作り、晩年になっても自給自足の生活を楽しみ過ごした、憧れのターシャ・テューダーさんの言葉が思い出される。
「やりたことがあればやるべきよ」
周囲に迷惑をかけたり困らせたりすることでなければ、やりたいことはいくつになっても挑戦したいと思う。
風に揺れる葉がキラキラして、本当に綺麗です。