黒岳に登った日に泊まったのは、旭川市に隣接する人口約3700人の小さな町、比布町(ぴっぷちょう)。
比布町と言えば、有名なCMを憶えていらっしゃる方もいるかもしれない。
今から40年前に「ピップエレキバン」のCMで有名になった町。
この場所で故・樹木希林さんとピップエレキバンの会長さんが、ユーモラスな会話をするCMが流行った。
当時は全国から人が押し寄せるほどだったそうだが、今はのどかで静かな農村に戻っている。
「世界一大雪山がきれいに見えるまち」というだけあって、大雪山をのぞむ眺めは最高。
冬はスキー、夏はキャンプで遊べるのだが、主要産業は農業なのでこれといった観光はない。
ところが、この町にある宿の口コミ評価がとても高くて、それに興味を持って泊まってみることにした。
泊まったのは良佳プラザ・遊湯ぴっぷ。
ホテルにしては小さめで、お風呂は天然温泉でなく地元の人が日帰り入浴で多く訪れているのだが、なんだか居心地がいい。
その理由は、広々とした清潔な部屋(私は和室だった)や従業員さんたちの礼儀正しい中にもある親しみやすさ、そして料理の美味しさだったと思う。
地元の特産品を使った料理はどれも美味しかったが、特に美味しかったのはご飯!
実は比布町、道産米の中でも特に味が良いと評判の「ゆめぴりか」が誕生した町なのだとか。
ゆめぴりかは米の食味ランキングで連続「特A」を獲得しており、現在比布町では約120軒の農家で作っているそうだ。
そんなわけで、いつもはご飯一膳を食べるのがやっとなのだが、今回はおかわりをして食べてきた。
さて次に行ったのは、旭川市にある「北鎮記念館」(ほくちんきねんかん)
この記念館は陸上自衛隊第二師団の旭川駐屯地内に建てられていて、北海道の防衛と開拓に携わった屯田兵や旧陸軍第七師団の歴史を物語る資料が展示されている。
記念館の名前に使われている「北鎮」とは北辺の守りを担う重要部隊ということで、旧陸軍第七師団のことを道民は畏敬の念を込めて「北鎮部隊」と呼んでいたそうだ。
ここを見学しようと思ったのは、夫の父が第七師団にいたから。
幸い義父は戦後生きて帰って来たが、多くの方が命を落とした歴史を見るのは正直つらいものがあった。
しかし今の平和な日本があるのはこうした方々のお陰だと思うと、やはり畏敬の念が湧き上がる。
北鎮記念館は入場料無料。
自衛官の方がついてたっぷり一時間ガイドをして下さる。ご興味のある方は、ぜひ行かれるとよいと思う。