以前よく通っていた日帰りの天然温泉に久しぶりに行ってきた。
コロナが流行って以来しばらく閉まっていたため、なんとなく行かなくなっていたが、ずっと行きたいと思っていた。
ここの良さは何と言っても泉質で、身体の芯から温まって肌もつるつるになる。
また源泉かけ流しということもあって人気がある。
そしてもう一つの良さは、なぜか利用客のみなさんがフレンドリーだということで、お湯に浸かると知らない者同士でなんとなく会話が始まる。
もちろん会話に参加したくない場合は、しなくても全然かまわない。頭にタオルをのせて、一人の世界を楽しんでいてもいい。
市内の他のお風呂もいろいろ行ってきたが、ここのように知らない者同士で会話が弾むという所はなかった。
ちなみに話が弾むのは女湯だけで男湯ではないそうだ。(夫談)
さて久々に行ったお風呂だが、今回もまた知らない者同士、露天風呂に浸かって会話が弾んでいた。
私がお風呂に到着した時に見たら、浴槽では4名の方が楽しそうに語らいながら入っていた。
身体をゆっくり洗ってしばらくしてから浴槽に行くと、まだ同じ4人がおしゃべりをしながら入っていた。
さすがにのぼせたのか、浴槽の縁に腰かけておしゃべりをしている。
聞くともなくお話を聞いていると、4人ともお歳は70代後半で主婦らしい。
しかし話の話題は多岐に渡っていて、途切れることなく続いていく。
内地(本州)に旅行に行ったこと、そこで食べたうなぎが目玉が飛び出るくらい高かったこと。それなのに一緒に行った娘や孫に「おばあちゃん、食べていい?」とねだられて仕方なくごちそうしてきたと一人の女性が話した。
それを聞いていた別の女性が、昔うなぎを食べて骨が喉に引っかかって病院でとってもらったと話し、話題はうなぎの骨に変わった。
そこから病院の話になり、病院から帰ってからの夕飯の話になり、料理のレシピの話になって、最近の物価の話になり、政治の話になった。
途中で入ってきた方も話に加わったり、お湯から出て行く人もいたりしたが、会話は話題を変えながら延々と続いて行った。
私はと言えば話には加わらず、今回は一人で水風呂と熱いお風呂を行ったり来たりしていた。
その間、初めにいた4名の女性たちはずっと露天風呂に入ったままお喋りを続け、結局私が入ってから出るまで約一時間、お喋りに花が咲いていた。
幸い露天風呂でのぼせそうになればお湯から出て風に当たることができるので、長く居ても大丈夫なのだろう。
それにしても皆さんお元気。
70代後半だというが、「最近ボディラインが崩れて来た」と話すのを聞いて倒れそうになった。
それって、もうちっと若い人が話すことじゃない?
いやいや、こういう話ができるのって素晴らしい!見習わないといかん、、、と思う。
82歳の現役イラストレーター田村セツコさんが日々ハッピーに生きるためにしていることの一つとして、とにかく人と話すことをあげていた。
田村さんは、タクシーに乗ると自分から運転手さんに話しかけるそうだ。
この世に生まれてきたら孤独感はつきものだという田村さん。
夜中に目が覚めて孤独に沈むこともある。
だからこそ、人と話す喜びや温かさをより感じることができるとおっしゃっていた。
コロナによって人との距離を取らなければいけない世の中になってしまったが、だからこそ意識して人と話すような機会を持った方が良いのではないだろうか。お風呂でおねえさま方の会話を聞いて思っていた。