これまで何度も読んでいるのに、時々読みたくなって本棚から出してくるのが辻麻里子さんの本。
何冊かある辻麻里子さんの本の中から「22を超えてゆけ」を読んでいた。
内容は一人の少女が夢の世界に入って、宇宙図書館(アカシックレコード)で様々な体験をしていくというもので、難解な部分はあるものの、どちらかというとファンタジーな小説かもしれない。
ところで主人公の少女とは辻麻里子さんご本人であり、宇宙図書館での体験は実際にあったことを元に書かれているのではないかと思う。
確かどこかでそのようなことが書かれてあった気がするし、何度も読むうちにきっとそうに違いないと思うようになった。
この本を初めて読んだのは20年近く前だが、その時にはただ不思議で面白いストーリーだと思った。
難しいので何回か読み返すうちに、最初に読んだ時にはわからなかったことや気がつかなかったことなど新たな発見があって、何度読んでもおもしろく読むことができる。
そんな発見の一つで、前に読んだ時には引っ掛からなかったのに、今回はとても心に響いた文章がある。
(略)過去が変わることもある。
物理的な出来事が変更されることは少ないが、その出来事に対する感情部分は、後からでもじゅうぶん修正が可能なのである。
記憶が好きなように再構築されるというよりは、過去に超えられなかった感情パターンを、現在においてクリアすると、過去にあった同じパターンのものが、いっせいに裏返るのである。
現在を変えれば過去も変わらずにいられない。
いうなれば、過去も未来も、すべてが同時進行しているのだ。
過去の苦しんでいる自分に「大丈夫。今は苦しいけど必ず良くなるから」と未来の自分が励まして来たという話は、複数の方が体験談としておっしゃっている。
ということは、やはり過去も未来も同時進行しているということなのだろう。
最近、過去に怒ったり落ち込んだりした出来事に対して、思い出しても何の感情も湧いて来なくなった。
まったくの平常心か、あるいはその出来事があったからこそ学ぶことができたという気持ちにさえなる。
でも少なくなって来たとはいえ、去年くらいまではふとした時に過去の出来事を思い出しては、その当時の感情を生々しく思い出して、当時抱いた感情がよみがえってきて嫌な気持ちになっていた。
それは忘れない限り、何年経っても自分を苦しめる。
でも過去にあった出来事に対する感情を、嫌な思い出から、それがあったからこそ今があるに変わったら、他にもあったかもしれない嫌な思い出もほとんどがきれいに消えてしまった。
辻さんの本にあるように、現在においてクリアすると、過去にあった同じパターンのものが一斉に裏返ったかのようだ。
「許すこと」というのは、とても難しい。
でも許すことによって、自分も自分に許されて楽になれるのだと思う。
御本には書かれていないが、現在においてクリアするとは、「許すこと」なのかなと思う。
前夜に雪が降ったある日の早朝、部屋の窓から朝日が昇ってくるのが見えた。また新しい一日の始まり。