「今日そっちに泊まるから」と長男から電話があり、夕方に仕事が終わると帰ってきた。
聞けば、翌日は早い時間に仕事で人と会う約束があって、長男の新居から現地に向かうより実家(うちです)から行く方が近いのだとか。
一緒に夕食を食べながら、長男といろんな話をした。
長男は、最近休みの日は今後の仕事に役立つ(かもしれない)勉強をしているらしく、公的機関で募集していた勉強会にも参加しているそうだ。
そこで知り合った他の企業に勤める幅広い年代の方から聞くお話は、とても参考になるという。
コロナ禍の時代をどう生き残って行くか、これをチャンスととらえて新たなビジネスができないか、、など考えているようだ。
このように長男が勉強している背景には、結婚したことも大きいのではないかと思う。
お嫁さんは愚息よりずっと優秀なのに、専業主婦になってボランティアを続けたいという希望があるそうだ。
お嫁さんが仕事を辞めてしまうのは、とてももったいないな〜と思うのだが、専業主婦歴30年以上の私が言えることではない。また長男もお嫁さんには、専業主婦になって欲しいという希望がある。
自分の家を持ちたい、子どもも欲しい、新しい車も欲しい、もっとお金を稼いで、もっともっと余裕のある暮らしがしたい、、、という欲望が長男の言葉の端々から垣間見えた。
そのためには、自分の収入を増やすことを考えているようだ。
「会社で副業が認められてから、会社員をしながら自分で会社経営をしている人もいるんだ。自分の会社の収入が、勤めている会社の給料よりずっと高くなったらしいよ。だから勤めている会社で昇進の話があっても全部断っているんだって。自分の会社もあるから、責任が重くなっては大変だってことだよね」
そんな話を聞くと、微妙な気持ちになる。
勤務されている会社としては、どうなんだろう。もっと気持ちを入れて働いてくれよと思わないだろうか、、、
黙って長男の話を聞いていた夫も思っていたようだ。
「そういう人間は、会社としては使えない奴だという位置付けになるわな。仕事に命かけてるくらいじゃないと使えない。まあ、息子には言わなかったが」と呟いていた。
夫も私も考えが古いのかもしれない。昔は終身雇用が当たり前だったが、今は転職するのが当たり前なのだとか。どちらがよくて、どちらが悪いとは言い切れない。
ところで命というのは、若いほど活発で欲望をたくさん感じて、見えるものばかりに気持ちが傾くことが多いとは、鈴木秀子さんの本で読んだ。
そうして見える世界でさまざまな経験を積んで成長し、自分を完成して行くのだそうだ。
自分の家庭を持って、私たちの手の中から巣立って行った長男。
せっかくこの世にやって来たのだから、精一杯頑張って成長してほしいと思う。