用事があって街の中心部へ出かけた時のこと。
とあるビルで用事を済ませて時計を見ると、時間はちょうどお昼になっていた。
ビルで働いているスーツ姿の人たちが、お昼ご飯に行くためにたくさん出てきた。
横を通り過ぎて行ったのは、上司と思われる年配の男性と、その後ろを小走りで着いて行く部下らしき若い男性。
大股で歩いて行く上司らしき男性を見て、気分は一気にOL(古いかな)をしていた頃にタイムスリップした。
「あぁ、この人にそっくりな上司がいたなぁ。厳しい人で仕事の報告する時はもう緊張したわ、、」
その方が、後ろから横を通り過ぎて行ったからよかったものの、前から歩いてきたらもっと緊張したかもしれない、というくらい雰囲気が似ていた。
その二人を見ている自分は、もう完全に後ろを小走りで着いて行く若い人になっていた。
一瞬、会社員をしていた二十代に戻ってしまったが、よく考えてみれば、その上司っぽい男性は多分、、いや間違いなく、自分より年下だと言うことに気づいてしまった。
あの人もこの人も、ビルから出てきたビジネスマンたちは、もうみんな自分より年下なのだという事実にちょっと愕然とした。
当時の厳しかった上司は、自分より二十と数歳くらい歳上だったので、今は八十代後半か、、、
と言うことは、上司は当時まだ四十代だったのだという事実にも驚く。
今は四十代はまだ若いと思っているが、自分が二十代の頃は、立派なおじさんに見えていた。
「めぐるーめぐるーよ、時代は巡るー」
そんな歌が頭の中に流れた時間だった。
ところで昨日は、長男夫婦が二歳になる孫を連れて遊びに来てくれた。
玄関に入っただけで大泣きして、人見知りがひどかった孫も、今はすっかり慣れてニコニコの笑顔で家に入ってくる。
そして直ぐに私の手を掴んで、部屋の探検が始まる。
「ばぁば、こっち」「これナニ?」「あれとって」
お昼ご飯の用意をしなければいけないのに、なかなか解放してもらえず、お嫁さんが気づいて連れて行ってくれたので、やっと台所に戻ることができた。
お昼ご飯を食べ終えた後は、孫とたっぷり遊んでへとへとに。
やっぱり自分が子育てをしていた頃とは違う、、、気力も体力も衰えている。
(やっと)帰る時間になった時、孫が「ばばも行こう」と何度も言ってくれた。
「ばぁば」じゃなくて「ばば」と呼ばれたのは、ちょっと気になったけど、「ばばぁ」じゃないからいいや、、なんて。
でも一緒に行こうと言ってくれるなんて嬉しかった!ばばぁでも良いと思える。
二十代の会社員だった頃から四十年が経って、お姉さんから婆婆になった。
四十年ってすごく長いようだけど、歳を取ってみれば、あっという間だったように感じる。
嬉しかったことも悲しかったことも、今となってはすべて良い思い出。
めぐるーめぐるーよ、時代は巡る