バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

ケイエスの母

2010年05月09日 | 家族

母の日だ。

私は母の日とか父の日をうっかり忘れてしまうことがとても多い。

何があっても祝日の日にちが全く同じ元旦とかクリスマスとは違い、
母の日と父の日とかって、○月の第○日曜日という
その年によって日にちが変わるイベントというのが苦手だ。

今年も例外ではなく、数日前になって思い出した。

結局電話して少しお話をするというのが私のせめてもの母の日のイベントだ。

多くの母親がそうであるように、私の母も

「そんな感じにね、近況でも知らせてくれるだけでも有難いんよ。」

など言って、うっかりしていた私を許してくれるのだ。

「みんな元気ならそれでええんよ。」


あ。
そういえば思い出した。


10数年前、私は学生生活も終盤になったところで就職活動をしていたときのことだ。

時はバブル最盛期。

うちに来てくださいという、いろんな企業からの企業広告のビラの数々の中で
私は広島市内、しかも繁華街にあり、土日祝日完全休暇、ボーナス&給料も良く、
とてもオシャレなビルの中にある某大手石油会社に履歴書を送った。

私は英語が得意だったし、いろんな資格も持っていた。

面接は個人でなく4人組面接で、
英語でスピーチして他の応募者に差をつけた(と思った)。

筆記テストは英語、数学、国語があって、
英語と国語は全く問題なかったが、

数学が問題だった。

ただの数学の問題ではなく、どちらかというと
小学生がやるような簡単な、でも応用編ばかりの算数、という感じ。

私はなんと、何一つ答えを記入することができなかった。

ま、他の科目でなんとかなるし。

と、余裕でそのビルを後にしたのだった。

驚いたのが、その数時間後。

企業の採用担当の人から、
「数学のテストの件なんですが、どこか体の調子でも悪かったのでしょうか。」
と、予測もしてない質問を受けた。

全く回答しなかったのがそんなに驚きだったのかと思い、

「いえ。数学、というか算数というか、細かいことを考えるのが嫌なのです。」

と、すぱっと言ってしまった。  OMG...

若いということは、恐いもの知らずなのか
一寸先は闇という言葉を知らないのか、今考えると自分自身の愚かさを
とても恥じる。

私は超能力者でも、霊能者でもないけれど
それが原因でその企業に採用にならなかったことはすぐにわかった。

数日後、不採用の知らせを電話で知り
その後は今までそんなに泣いたことがないだろうというぐらい泣いた。

仏壇の前で。

きっと今まで不合格したことが全くなかったことと
何かに挑戦して失敗に終わったことがなかったことで
私は物事をすべて軽く見てしまう人間に成り下がっていたのかも知れない。

そこへ仕事と買い物を終えたケイエスの母が帰宅する。

仏壇の前でおいおい号泣する娘を見て、
それは一大事だと母もびっくりしたに違いないが、
泣きすぎて横隔膜に変な癖がついて上手くしゃべれない娘の話を聞き終わった母は

『そんなに悲しくて、悔しいなら』

と言い、

『その会社、燃やしてあげようか?石油会社なんじゃし、よく燃えるよ。』

と言った。





なんとダークなジョークだろう。





でもそんなジョーク、私好きだわ。

あんまりケロリとしてそんなことを母が言い出すものだから
それだけで私は涙をこぼしながら大うけにウケた。

笑いとばしながら、

ああ、私の失敗も母に言わせれば何でもないことなんだ

と思い、胸の中に詰まっていた汚物がいきなりポンと口から出て行ったような気がした。


母親ってすごい。


すごいよ。


人間という生き物を産んで、一生懸命育てるからなのかな。

私はその後も、いくつもの失敗をしたり、
母に面倒ばかりかけてきたが
何かにつけて母に言われて救われてきた言葉は

「あんた、大丈夫よね。」

だった。

母、いつもありがとう。





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母の日とか父の日って世界共通、同じ日なんですね。


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いつもありがとう。
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