鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

シネマ歌舞伎:京鹿子娘五人道成寺/二人椀久

2018-01-20 20:20:20 | 演劇・映画
午前中は、曇りがちながらも、午後から薄日も。


昨日(19日)、家人とシネマ歌舞伎へ。

このところ、具合いの悪かった家人であったが、昨日は、少し良くなってきたというので、気晴らしに、映画館でのシネマ歌舞伎でも・・・と思い、主演が、大好きな坂東玉三郎さんで、天気も良さげだし、出かけてみようということになった。

昔は、都内まで、演劇やコンサートなど、自分ひとりで、出かけていって、お気に入りのお菓子や洋服など百貨店での買い物が楽しみだった家人だが、ここ数年は、遠出をすることもなくなった。
最後の遠出は、私が伴って連れて行った明治座が、3年前のお正月だったかと思う。

補聴器を使っても、もう殆ど聞こえないであろうけれど、今回の演目は、日本舞踊だし、たとえ音が聞こえなくても、大型のスクリーンで見るだけでもよいのではないか・・・と思った。

正午まじかの上映。

このスクリーンは、観客の平均年齢が、ものすごく高い。
60歳代か70歳代の女性の複数連れが、多かった。
(平日金曜日のお昼に、映画館へ来られるひとは、やはり限られている)

道成寺の清姫の亡霊の白拍子・花子を、5人の歌舞伎俳優が、同じ衣装で踊るという娘五人道成寺。

分身の術・・・でしょうかね?

それでも。
やはり頂点に立つのは、希代の女形、百年に一度の逸材である坂東玉三郎だろう。

申し訳ないが、他の4人の若手と言われている俳優さんたち。
唯一、玉三郎の次のポジションであろうと思われる中村七之助以外は、玉三郎と並んで踊るとアラが目立つ。
いや・・・彼らは、普通なのだ・・・いや普通以上の水準なのだが。

玉三郎が、異常なのだ。

同じ踊りでも・・・コマ割りのタイミングが全く違うというか。
アニメーションに例えると、コマ数が違うというのだろうか・・・その微細な動きが、他の4人には、ついていけない。

還暦を過ぎてなお・・・重い衣装をまとい、イナバウワーを舞台上で演じ続ける坂東玉三郎の自然な動きは、死ぬような精進の結果なのだけれど、それを微塵も感じさせない優雅さ優美さは、まさに芸能の女神を嫁にした唯一の『おとこ』なのだろうと改めて思う。

久々の外出に、大喜びした家人。
さすがに、連れて歩くのは、イマイチ大変なのだが、まだ歩けるうちに、またどこかへ連れて行こうと思っている。老齢の方は、病院へお金を払うより映画館で懐かしの映画でも見た方が、精神の健康に良さそうな気もするのだが・・・。