6月10日(日)
実家の妙子ねえさんは、幼い頃日本舞踊を習っていたせいで、後年も花柳流の舞台に立ったりし、そのせいで歌舞音曲が好きである。
先週、松阪に出向いたおり、「あー、なんか楽しいこと、ないかなぁ」「じゃぁ、大衆演劇、行くぅ?」 「あ~、ええなぁ、行きたい、行きたい!」 と言うので、姉の休日の今日、榛原のやまと座に行った次第で…。
もはや、昔日の凛とした姿のなくなった姉を、ヘルパーさんが松阪で電車に乗せてくださり、でもその直前、「おしっこがしたい…」 など訴えるものだから、車掌さんが車内のトイレに連れて行ってくださった由。 …ったく、子どもだね!
歳を取ったら愚に返る。
亡父が、折々に話した論語や四書五経の内容が改めて、そくそくと思い返される。
総桧造り、花道付きのやまと座は、桟敷を借りて、ひとり(前売り)1600円也。
歌あり踊りあり芝居あり、正午から午後3時半まで2度の休憩を挟んで、満員御礼。 いや、疲れたけれど、精進のあとの伺える舞台を楽しませてもらった。
名張に戻って、真木一家と餃子の王将で夕ご飯。 ブランド好きの姉は、「…えっ、王将? チェーンの店やね」 と、いささかご不満の様子。 安くておいしくて、その上、なぜだか血糖値が上がらないの!
ママが注文してくれたメニューを、「あら、餃子、おいしいねぇ」、「天津飯、おいしい!」、「春巻きもええなぁ」 など、あれこれ喜んで食べて、姉は満足印だ。 …んっもっ!
自宅に戻ってからは、お仏壇に供えてあったお手玉を見つけ、ゆきちゃん、はるちゃんとお手玉遊びに興じている。
お手玉歌や遊び方を思い出しては、ママや子どもたちと遊んでいる。
このお手玉は、次男のカミさんのおばぁちゃん (94歳!) が、リハビリを兼ねて作られたもので、かの媼のご長寿を念じて仏前に置いているのだが、案外、認知症のリハビリに効果があるかも?
ここまでは良かったのだが、入浴後、パジャマが自分のものではないと言って怒り出した。
「松阪から持ってきたでしょう? 姉ちゃんのパジャマだよ」
「いいや、違う! こんな、けったいなパジャマは持ってない!」
まるで、汚いものを剥ぎ取るような仕草で、パジャマを脱ごうとする。
「パジャマを着ないと、風邪を引いて死んでしまうよ」 と言ったら、ふと我に返って、「そうか、まだ、死ねないもんね」 と納得して、寝に就いた。
82歳まで生きて、なお、生に対するこの執着。 「ひとは、出処進退を潔く!」 って、子どもの頃お父ちゃんに教えられたでしょう?」
…やれやれ。 眠っ。
ネット上での友で、72才の母上を介護されながらの独身OLのクリスチャンとの交信がありますが、
毎日ご機嫌が良い日、悪い日で、・・・お互いに愚痴を言い合うようなことですが、我が亭主は別格の誰もが嫌う介護者(主治医もいわれます)・・・・その点女性は老いるほどに可愛く感じられるところがいいのですね。お姉さまのようにかわいく進めるかしら・・・
姉に関しては、複雑な心境なのです。
82歳にして、なお働く意欲と自分の職業に誇りを持ち続ける姉が、ひそかな私の自慢であり、また一方では、差別意識が強く感謝の気持ちの薄い 「自分中心主義」 の姉を悲しく思い、ほんとうに複雑な心境です。
まだまだ、私の手助けも拒んだりしますし、ね。