さくらの日々是好日

余命半年から生還♪今年21年目の【金つなぎ勝ち抜きRoad】を走り続ける、多重がん患者の病老の日々や患者会活動をご紹介!

♪乳がんを病んだ夫婦のかたち…

2005年07月01日 02時55分31秒 | KLC
彼女が逝って1年半になる。
享年42歳、末期といわれる全身転移のがんを病んでいた。

9年前,乳がんを温存手術。けれども,2週間後には悪性を告げられ,再手術で左乳房全摘を余儀なくされた。その3年後、今度は右乳房に転移が見つかり、やむなく全摘することに。

両の乳房を失って退院した日。一緒に入浴したご主人は「あぁ、綺麗に切ってもらってあるなぁ!」と言いながら、妻の身体を洗ってあげたと言う。恋愛結婚して15年目。ご主人は当時、大手企業に勤務するエリートビジネスマン。息子達は,中学1年と小学4年になっていた。
おりから働き盛りの彼に、東北支社長に栄転の話が持ちあがったが、悩んだ結果、妻の看病を優先して退職。自ら会社を立ち上げ、仕事と介護のふた筋道を選んだ。並みの覚悟で出来ることではない。
「退社の日。息子達に、“お父さん、やっぱりすごくお母さんのこと、愛しているんだね”と言われちゃって…」とはにかむが、肝臓、肺、骨、脳にまで転移した妻の身を案じ,健康保険の利かない大学病院の免疫療法に賭けた。

彼女の延命は、彼の優しさとマメマメしさに支えられていた。
ナゼそこまで優しくなれるの?と尋ねたら、ややあって「う~ん、彼女が大事だから・・かな?」と答えが帰ったのだった。

愛されて逝った彼女と、愛して見送った彼。うらやましい、夫婦のあり方を見せてもらったことだった。

がんを病むことは、往々にして夫婦の関係にヒビを入れる。
退院の日、「ごめんね…」と見せた胸の傷を「わっ、気持ちワルッ」と覚えず口走った夫を「生涯許さない…」と話した病友が数人おられる。
妻の心にグサリと残る、言葉による深い傷は、がんの手術痕よりも深く大きい。

    

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