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東直子さんが百人一首を現代風に詠み替えた本。申し訳ないが、百人一首に軍配。やはり、やわらかな韻律にまみれた歌は凄い。和歌の世界はおもわず口ずさむことができ、その響きそのものが歌の世界。
そうなると、口語体で現代短歌を詠っているごまめでございますが、やはり詠う、音律だけは常に心掛けたいですな。
百人一首で未だ口ずさめる歌は・・何首あるんでしょうか。
・秋の田のかりほの庵の苔をあらみわが衣手は露に濡れつつ(天智天皇)
・春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山(持統天皇)
・田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ(山辺赤人)
・奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき(猿丸大夫)
・天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも(安倍仲麿)
・花の色はうつりにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに(小野小町)
・これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関(蝉丸)
・天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ(僧正遍昭)
・君がため春の野に出でて若葉摘むわが衣手に雪は降りつつ(光孝天皇)
・ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは(在原業平朝臣)
・わびぬれば今はた同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ(元良親王)
・ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ(紀友則)
・あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢ふこともがな(和泉式部)
・大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立(小式部内侍)
・いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな(伊勢大輔)
・瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ(崇徳院)
・ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞ残れる(後徳大寺左大臣)
たった17首しか、頭にないんですな・・さびしい限りです。