東西の竜虎極付と銘打って、本格古典を得意とする萬窓・宗助のお二人が競演。
啖呵の効いた本寸法の江戸の粋(いき)と、ハメモノ入りの華やかな上方の粋(すい)を・・。
米朝師匠の書
満員の会場、客層なのか椅子席が多めに用意されていた。
最初に主催者の高巣昌信さんと宗助さんが登場、ご挨拶。
高巣さんは田辺寄席でちょくちょくお見受けしていたが、埼玉の方とか。
東西の竜虎極付と銘うって、二回目今回は大阪で公演。
最初に、寄席を楽しむ為に“一座建立”を目指して、と。
“一座建立”とは、主客一体となって会を楽しむ「一期一会」と対をなす茶会での目的とされ、
招いた者(ホスト)と招かれた者(ゲスト)が互いに思いやりを持って心地良い場をつくる、と。
東西竜虎会はマナーの厳しい落語会と敢て、宣誓。
今や「寄席」は今や数少ない“大人”の遊びであるが故に最低限のマナーはお願いします・・と諸注意の手引きを。
【携帯電話】【お喋り】【ビニール】【チラシ・プログラム】【ジッパー】【マジックテープ】
【ノック式ボールペン】【いびき】【扇子】【鈴】【鼻すすり】【アメちゃん】【ガム】【帽子】
【貧乏ゆすり】【指ならし】【咳・くしゃみ】【落げ盗人】・・・・・小学生でもいうように事細かに。
気持ちは解るが、まさに子供扱いされているようで、各項目ちょっと淋しいぐらいの諸注意でおましたな。
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桂宗助さんの「百年目」・・・・・、最高でおましたな。
一、桂そうば・・・・・・・・・・・・・「うなぎ屋」
江戸では、「素人鰻」。最近、いたって価格上昇中の鰻。タイムリーなネタに期待したが、
いたって、おとなしめ。九州弁がとれず、鰻を捌くのに腹開きも背開きもできず、
ぶつ切りに、今九州でこんなん流行っていますねん・・・はおもしろかったが。
鰻の摑まえる仕草も、もうひとつ、もっともっと悪戦苦闘が見てみたい。
そうばさんの「うなぎ屋」、どこに向かおうとしているのか・・・
前にまわって鰻に聞いてくれ・・・。
二、桂宗助・・・・・・・・・・・・・・・「べかこ」
「べかこ」とは、あっかんべえのこと。今の、南光さんが前の名前が、べかちゃんこと「べかこ」。
元々は「米歌子」から「米之輔」、「米朝」を経て三代目「米団治」になられた、由緒ある名前。
鳥を扱った小噺は、少ないのですがと、お百姓にカラスが「クワー」と忘れかけてた鍬を教え、
家に帰って、「クウ、クウ」と食べることばかり言う鶏を叱ると,鶏が「トッテコーカ(取って来うか)」。
このマクラが最後の最後で活きてくる・・・・。
熊本のお城に招かれた上方の芸人、ふざけて「べかこ」をして柱にくくりつけられる、
「明日の朝、鶏が鳴くまで縄を解いてはならん」と、丁度目の前に名人の書いた鶏の絵が、
鶏よ、絵からでてきて、助けてくれと頼むと、「抜け雀」のごとく鶏ができたではないか、
そして、一言・・・「べかこ」。
何とも、私たちまでドンデンがえしの、凄いサゲでおますな。
この噺、今は南光さんと宗助さんと三喬だけか・・・是非、出会うのをお楽しみに・・。
三、三遊亭萬窓・・・・・・・・・・・「明烏」
喋っているうちに、志ん朝師匠を生で聴いたらこんな風であったのか・・と。
今迄、生志さん、文太さん、花緑さんで聴いた「明烏」だが、
ヘアースタイルなのか、どことは上手く言えないがどこかCDで聴く志ん朝師匠とだぶる。
翌日のあの「甘納豆」の場面は、志ん朝師匠の「小梅」ではなく、文楽師匠の「甘納豆」。
また、花魁が時次郎を足を絡ませ起こさないところは、背中に爪を立ててぐーっと・・。
ほんと、「山葵の効いた鰻の茶漬け」のごとく、
何気ない中に江戸前の粋さが、つーんとぬけますな・・・。
四、三遊亭萬窓・・・・・・・・・・・「締め込み」
盗人が入った家で、風呂敷につめていると、そこへ亭主が帰ってきたので床下へ。
亭主それを見て、てっきり嫁さんが浮気でもして、家出の準備と勘違い。
そこへ、嫁さんが帰ってきて大騒ぎ・・・投げた鉄瓶の熱湯が床下の盗人へ。
そこからは、上方とは違って江戸の方は粋、名乗ってくれたから夫婦別れせずにすんだ、
感謝するよ・・・と、一緒に酒を呑む。すっかり酔って寝てしまった盗人。
ぼちぼち、自分たちも寝ようか、主人が「用心が悪いから、戸締りを」、
嫁さん「盗人は中にいてますよ」・・「だったら、外から締め込んでおけ」と
最後の最後に、題目が・・・。
まあ、途中の夫婦喧嘩が見せ所、お互い浮気してるんではないかと嫉妬するぐらい
この夫婦仲が良いんでしょうな・・・。
この、人の良い盗人の滑稽噺も、萬窓さん絶品でおましたな。
五、桂宗助・・・・・・・・・・・・・・・「百年目」
最高でおましたな、宗助さんの「百年目」。
大旦那が「、一家の主を旦那と言ぅのは、どぉいぅとっから来たか知ってなはるか」と、
番頭を諭すくだり。
「天竺には赤栴檀といぅ見事な木があって、その根元に難莚草といぅ見苦しぃ
雑草が生えている。この難莚草が赤栴檀にとってまたとないえぇ肥やしになる。
また、赤栴檀の露が、難莚草にとっては肥しになり、互いに助けおうている。」
「この赤栴檀の「だん」と難莚草の「なん」と取って、在家の人のことを「だんな」
といぅものはこっから出たんじゃと法談で聞いた。世の中は有無相持ち、助け合いじゃ
下の者にももう少し優しゅうしてやってくれ。」
そして番頭が初めて奉公に来た時や、何をやらしても半人前やった丁稚時代を
しみじみ語る親旦那に・・・・・・思わずほろりとさせられましたで・・。
この親旦那の、懐の深さ、預かったお子を一人前の商人に育てあげようとする責任感と
商売としてのお金の使い方、すべてに親旦那の品格が滲み出る、ええ話でおますな。
この噺に感動、そして宗助さんに感動の、一席でおました。
萬窓・宗助二人会~江戸の粋(いき)と上方の粋(すい)~
2012年5月26日(土)14:00開演
動楽亭
一、桂そうば・・・・・・・・・・・・・「うなぎ屋」
二、桂宗助・・・・・・・・・・・・・・・「べかこ」
三、三遊亭萬窓・・・・・・・・・・・「明烏」
仲入り
四、三遊亭萬窓・・・・・・・・・・・「締め込み」
五、桂宗助・・・・・・・・・・・・・・・「百年目」
12-21-104
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