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18年寄り添った愛犬との別れ、その思いが切々と語られる。
私も今年の春、18年連れ添った愛犬モモと別れましたが、もっとモモの歌を詠んでおいたらと悔やまれます。
歌は文語体だし、ちょっと私とは志向が違うようで、気になる歌は少なおました。
お揃ひの帽子と服のすずめたち落葉を踏みて冬をたのしさう
足がすこし遅くなったのではないですか綱を引きつつ犬が振りむく
首輪の跡を見ればしみじみ思はれる犬の身体に肩のなきこと
ゲンちゃんのゐないこの夏もう終はる風に揺れつつ狗尾草も
夕暮れを見てゐるときの窓越しに芙蓉の花がすーつと落ちる
仰向けば昨日とおなじ枝にあり重たげにして橙の実が
要るものがあると出かけし行きさきも夫の要るものも何か知らねど