こどもか、とセムドは思いながら、土を背負って歩いた。
ユカダのところに聞いてみるか。最近ユカダは子供を産んだが、その赤ん坊が難しい子供なので、困っているのだ。上の子供も六人いるが、まだみんな小さくてあまりたよりにはならない。親も死んだし、兄弟も少ないから、ほとんど自分だけでこどもを育てている。
セムドはソミナのことも思った。醜女だが、顔つきがどこかアシメックに似ていて、やさしそうだ。困ったことなどはやらないし、友達付き合いもちゃんとしている。兄の世話もよく見ている。乳は出ないから赤ん坊はだめだろう。ものごころがついているほうがいい。そう思うと、セムドの心に思い当たる子供がいた。
ユカダに頼んでみよう。
夏は蝉の声とともに過ぎていく。厳しい日差しはみなを汗で濡らした。暑さをしのぐため、子供は川でよく泳いだ。子供が溺れないように見張るのは、母親の役目だ。
その日ユカダは赤ん坊を背負いながら、六人の子供をケセン川のほとりで遊ばせていた。子供は川の縁で、エビを追いかけながら大喜びで遊んでいる。ユカダは赤ん坊を前に抱きかえながら、「深いところに行くんじゃないよ」と何度も子供に声をかけていた。
赤子育てで疲れていたが、上の子を放っておくわけにもいかない。今度の子供は女の子だが、癇癪持ちで、ユカダが少しでも目をそらそうものなら、とんでもない声で泣くのだ。寝る間もないほど忙しく世話をさせられる。何とかがんばっているが、時々弟が手伝ってくれるだけで、ほとんどだれにも助けてもらえない。
ユカダは途方にくれる寸前だった。