ネオが暗い顔をしていうので、サリクは少し興味を持って、「どうした?」と聞いてみた。するとまたネオは深いため息をついて、言った。
「モラに子供ができたんだ」
するとサリクは、おいおい、と言った。
「もう子供作ったのか。早いな。おれは十八のときでやっとだったぞ」
言いながら、サリクは自分の子供ができたときのことを思いだした。あのときはたしかキトナだったな。生まれたのは女の子だったけど。あれっきりあんまりかかわってないから、子供の名前も今はっきり思い出せない。
「そういえばおれも、女に子供ができたってわかったときは、焦ったな」
サリクは昔を思い出しながら言った。ネオは顔をあげてサリクを見た。
「なんだか、女が急に偉くなった気がしてさ。あのときくらいから、焦って狩人組で働き始めた」
「うん、それ。おれも」
ネオはサリクが自分の気持ちをそのまま言ってくれたので、飛びつくように言った。その目を見返しながら、サリクは面白そうに言った。
「なんかやってみたいのか」
「うん」
「そうだな。じゃあ、釣りでもしてみるか。釣りはまだ覚えてないだろう」
「うん! 教えてくれよ」