世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ネオの恋③

2018-01-15 04:12:45 | 風紋


ネオが暗い顔をしていうので、サリクは少し興味を持って、「どうした?」と聞いてみた。するとまたネオは深いため息をついて、言った。

「モラに子供ができたんだ」

するとサリクは、おいおい、と言った。

「もう子供作ったのか。早いな。おれは十八のときでやっとだったぞ」

言いながら、サリクは自分の子供ができたときのことを思いだした。あのときはたしかキトナだったな。生まれたのは女の子だったけど。あれっきりあんまりかかわってないから、子供の名前も今はっきり思い出せない。

「そういえばおれも、女に子供ができたってわかったときは、焦ったな」

サリクは昔を思い出しながら言った。ネオは顔をあげてサリクを見た。

「なんだか、女が急に偉くなった気がしてさ。あのときくらいから、焦って狩人組で働き始めた」

「うん、それ。おれも」

ネオはサリクが自分の気持ちをそのまま言ってくれたので、飛びつくように言った。その目を見返しながら、サリクは面白そうに言った。

「なんかやってみたいのか」
「うん」
「そうだな。じゃあ、釣りでもしてみるか。釣りはまだ覚えてないだろう」
「うん! 教えてくれよ」




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする