◇五十肩と甘夏
2月の初めあたりから右肩をひねると痛さを感じるようになった。1月7日に生まれた4人目の孫が実家に帰ったばかりで、さては孫の抱きすぎかと思っていたが、一向に改善しない。普通なら1週間もすれば回復するのに。どうもおかしいな、もしかすると四十肩ではあるまいかと懸念していたが、一向に治らない。一定の角度になると痛みが増し、夜中に痛くて目が覚めるなど、放って置くわけにも行かずついに整形外科を訪ねた。
診察券は6年前のもの。前に患った腰痛がはかばかしくなく、レントゲンを撮りに行った時のもので、さすがに「新しく作り直しますからね」と言われた。
割と空いていて5分も待たずに診察。問診とレントゲンで即結果が出た。「肩関節周囲炎」通称「五十肩(もしくは四十肩)」だという。「まだ軽い方だけど、2・3カ月はかかりますね。湿布薬を出しましょう。」で終わり。肩関節が炎症を起こして動きが悪くなったり痛くなったりするもの。もとをただせば筋肉や腱の老化現象。別に面目ない話ではないが、肩を落とすしかない。
それにしても医師の診察で驚いたのは、今はレントゲンもいちいちフィルムに現像しない。レントゲン撮影の電子データが直接医師のディスプレイに表示され、コントラスト・濃淡・拡大縮小など自在であり、患者にも分かりやすい。だがこれも整形外科だからで一般の医院ではまだこうはいくまい。
帰り道、食品スーパー「ベ○クス」の店頭で「甘夏」6個を300円で売っていた。まだ走りではあるが300円なら安いと思って買ってきた。このところヨーグルトに入れるマーマレードはグレープフルーツでばかり作っていたが、ようやく甘夏が出回ってき始めたので、実は手ぐすねを引いて待っていたのである。ほんとは昔子供の頃遠足の定番であった、「夏ミカン・森永キャラメル・うで卵」の「夏ミカン」が狙い目なのだがなかなか手に入らない。甘夏で我慢なのである。
◇甘夏のマーマレードを作る
柑橘類のマーマレードは大てい手順は同じだと思うが、我が家の作り方を
ご紹介しよう。
大まかに言って、次の4工程の作業があって、総工程4時間半くらいかかる。
(1) 果汁を絞る。(果実を洗って、輪切りにして果汁を絞る。)
(2) 果皮チップを作る。(マーマレードに風味をつけるチップを作る。)
(3) ペクチンを作る。(ワタと果汁絞りかすからペクチンを抽出する。)
(4) 砂糖を入れて煮る。(ペクチンと果汁などを加えて砂糖で煮る。)
①甘夏はよく洗う
消毒の農薬が付いているので、20分程水につけて、たわしやスポンジなどで
ごしごしよく洗う。
② ミカンは果汁を搾るために横に輪切りにする。(見える種は予め取ったほうが
良い。)
③ 輪切りにした甘夏の果肉から果汁を余すところなく搾取する。
果汁に混じった種や小さな粒々など夾雑物は丁寧に取り除く。
④ 果汁は6個の甘夏からおよそ800cc取れた。多少果肉が入っても良い。
(私の好みでは多少入ったほうが好き。)
この果汁をおよそ1/3の量(300cc)まで煮詰める。
必ず「あく」が出るので何回も丁寧に取り除く。
あくは鍋の縁にへばりつく。
⑤ 果汁を搾り取った果皮の部分は、それぞれ8等分する。
⑥ 果皮から、ペクチン抽出の元となるワタと果肉の袋(絞りかす)を包丁で分離
する。
8×2×6=96枚になるので一番時間がかかるところ。約1時間かかる。
果皮の上皮部分はなるべく薄く。一部は細切りにして使う。
⑦ 果皮の上皮部分はきれいに分離できたものを15・6枚選んで、長さ1・5cm
幅2mmくらいの細い千切り(短冊状)にする。
これは15分程度水煮(水から入れて煮立てる。
このときも「あく」が出るので丁寧に取り除く。
⑧ 切り離したワタの部分はペクチンを抽出し易いように少し細分化する。
細分化したらたっぷりの水で20分程度水煮する。
これを2度行う(ワタが柔らかくなる)。
⑨ 水煮したワタは一旦ザルに上げて、改めてたっぷりの水で40~50分煮詰
める。
煮詰めた果汁(300cc)の3倍(900cc)のペクチンが必要になる。
器の重さを量っておいて、およそ900㏄になるまで煮詰める。
煮詰まったワタをざるで漉し、ペクチン液をとりだす。
⑩ 得られたペクチン液に濃縮果汁と千切りの表皮を入れて15分位煮る。
絞りかすは捨てる。
ここでも「あく」が出るので何度も丁寧に掬い取る。
⑪ この全体量はおよそ1,200ccである。ここに白砂糖を入れる。量は好み
で0.8~1㎏。
一度に入れないで砂糖を溶かしながら、3回位に分けて入れる。
全体にとろみがついてくる。まだ白いあくが出るので取り除く。
完成。 瓶に入れておしまい。