読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

信州の鎌倉「別所温泉」と小諸の「懐古園」を訪ねて(その1)

2012年07月21日 | 国内旅行

  梅雨明けの7月17日ボランティア仲間10人(内1人は仕事でドタキャン)で今年初めての
 ビアガーデンでしたたかに飲んだ。飲み放題が男性2000円、女性1600円で3時間。十分
 元が取れました。

  そして翌々日。一昨年初めて訪れて気に入ったので是非行こうと妻に誘われて別所温泉へ。
 そのたたずまいから信州の鎌倉といわれる別所温泉は、「北向観音」で有名で、確か昔仕
 事のついでに連れて行ってもらった記憶があるものの、宿泊はしていないのでぼんやりとし
 た記憶で甚だ頼りないので、割安の宿泊プランが手に入ったことから一泊の温泉旅となった。
  2日目は、折角なのでまだ行ったことがないという妻の希望を容れて小諸の「懐古園」を訪ね
 た。

  初日は全国的に猛暑で、高原の信州も33度。翌日は一転して曇天。全国的に気温差は10
 度くらいで、軽井沢では濃霧の中、風も強くて肌寒く多分15℃くらいだった。

上田電鉄別所線で別所温泉へ
  長野新幹線で上野を出ると2時間ちょっとで上田に着く。そこで手打ちそばで昼食をとって、
 上田電鉄別所線で終点の別所温泉駅に向かった。
  2両の電車は千曲川を渡り、塩田平の青々とした水田をぬって進む。30分足らずの間に
 駅が15もある。
  周囲は山ばかり。関東平野を見慣れている人は「これを平野というのか」と訝るかもしれな
 いが、山国の信州ではちょっとした平地があれば立派な平野に見える。長野県民歌「信濃の
 国」でも「松本・伊那・佐久・善光寺四つの平は肥沃の地」と謳っているくらいで、ここ塩田平も
 なかなかの平野ということになる。
 
  上田駅の改札では中学生のような坊やが切符に刻印を押してくれた。電車内でも一人の中
 学生が車掌らしい駅員から何やら指導を受けていた。恒例の体験学習らしい。
  電車内は乗客は十数人。先頭車両からクリーム色の立派な制服を着た駅長が歩いて来て
 我々の前の席に座った。世間話を始めたので我が社の電車を利用してくれた乗客にお愛想
 を使っているのだと思って応じていたら、「お客さんはハーモニカをやりますか」と来た。「ああ、
 少しは吹けますよ」。すると彼はやおらポケットから鎖が付いた小さな四角いものを取り出した。
 「これはハーモニカなんです」「危難に遭ったときなどは笛の代わりになるので、最近人気なん
 です。どうですか記念におひとつ?」ハーモニカのペンダントだった。
  そのあと本物のハーモニカをとりだして、知らない古い歌謡曲を吹き出した。伊藤久雄が歌
 った曲だという。「伊藤久雄といえばイヨマンテの夜でしょう」、「そうそうその伊藤久雄です」。
  まさか上田駅の駅長が車内で物販活動までしているとは思わなかった。廃線の憂き目が少
 しでも先送りされるようにと思い一個買ってしまった(1000円はちょっと高い)。

              
      別所温泉駅             ホーム             ハーモニカのペンダント   塩田平を眺望

レトロな駅舎・駅員
  別所温泉駅では袴の女学生姿の駅員が切符を受け取っていた。駅長だという(もっとも駅員は
 ほかには見当たらなかった)。駅舎も待合室も全体にレトロ調で、待合室の天井には古めかし
 い扇風機が回っていた。
  妻によれば宿のホテルまでは観光協会か旅館組合が運行している「ミニバス」があるらしいが、
 一番バスはまだかなり時間があるというので、炎天下の中20分ほど歩いた。
  タクシー会社もあるが運転手は控室で居眠りをしていた。この暑さのせいか道を歩いている
 人もほとんどいない。広々とした観光バスの駐車場もガラ空き。
  とにかく眠ったような温泉地で、これから衰退するのではと心配になった。
  別所温泉は山裾にあり、全体が傾斜している。行きは登り、帰りは下りなのでキャスター付き
 とはいえ荷物を引いての登りはつらい。

          
     女学生姿の駅員          レトロな待合室
 
◇「北向観音」と「常楽寺」、「安楽寺」
  「北向観音」は別所温泉の代名詞といえるほど知名度が高い。宿泊したホテルの客室(4階)
 からは北向観音の「観音堂」と「薬師堂」が間近かに見える。
  北向観音堂は平安初期に慈覚大師円仁により開創された。その際別所三楽寺(安楽・常楽
 ・長楽)が建立された(長楽寺は現存しない)。

            
     <北向観音>
  本坊は長楽寺。天台宗の寺。天長2年(825年)開創。本尊は千手観世音菩薩。善光寺が南
 向きで来生の御利益を、これに対し北向観世音は現世の御利益を齎す一対の仏として片方だ
 けでは「片参り」とされる。
  本堂のほか不動堂、薬師堂、鐘楼と天然記念物・桂の木などがある。

            
       北向観音           不動堂・薬師堂             不動堂               薬師堂
   

   
      鐘楼と桂の木
     
<常楽寺>
  北向観音の本坊。本尊は珍しく宝冠を戴いた阿弥陀如来像。本堂裏山にある石造多宝塔は国
 の重要文化財。  

         
     常楽寺本堂              茅葺き            国宝 石造多宝塔

   
<安楽寺>
  曹洞宗の寺。天平年間(729~749)行基建立といわれる。本尊は釈迦如来像。本堂は珍しい
 茅葺き。本堂の裏山にある「八角三重塔」は国宝で、1290年頃の建立とされる。四重に見える
 が一番下の層は「裳階(もこし)」と呼ばれ、ひさし又は霧避けの類で極めて珍しい形式。日本最
 古の禅宗様建築とされる。

           
     安楽寺本堂               鐘楼            国宝 八角三重塔


外湯巡り
  歴史ある著名な温泉地には必ずと言ってよいほど「外湯」があって、地元の人(温泉組合)が管
 理している。外部に対し有料のところと無料のところがある。小ぶりながらそれぞれ特徴のある拵
 えで、時間があれば外湯めぐりも面白い。これまでに草津温泉、野沢温泉、塩原温泉、下諏訪温
 泉などで外湯を楽しんだが、別所温泉には「大湯」、「石湯」、「大師湯」の三つの外湯がある。
  宿のすぐ隣にある「大師湯」は木曜日が休みで入れなかったので、真田幸村の隠し湯と言われ
 る「石湯」に入った。立派な構えで、浴槽も石積みで掛け流しの湯が気持ち良かった(150円で
 あるが旅館で入浴券を出してくれた)。


   
    真田幸村隠し湯 石湯   
  
 (以上この項終わり)

 

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