読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

佐々木譲の『犬の掟』を読んで

2016年07月26日 | 読書

犬の掟』 著者:佐々木 譲
                    2016.3  新潮社 刊

      

  久々の佐々木譲の警察小説。
  佐々木譲には北海道警ものが多いが、今回は警視庁とお隣りの神奈川県警が舞台である。
 登場人物の主役は、門司、波多野という所轄の刑事課捜査員と綿貫、松本という警視庁捜査
  一課捜査員。

  東京湾で射殺体が発見された。被害者は暴力団の幹部である。所轄の刑事課波多野はペア
 の門司と事件を追ううちに本庁捜査一課の警察学校同期の松本と出会う。松本はかつて波多
 野が逃走犯につかまり銃で脚を撃たれた折に身を挺して彼を救出したことがある。
  波多野と出会ったとき、捜一の綿貫・松本は上司の管理官から内密の捜査を命じられてい
 た。東京湾の射殺体に見る両手首の擦過痕、スタンガによるとみられる火傷痕、銃殺の手口
 が、過去に起きた未解決事件に共通点である。しかも事件関係者には人身売買組織にからみ
 暴力団との関連が疑われる。そこに万が一警察関係者がが絡んでいれば一大スキャンダルと
 なる。それが杞憂でなかった場合、所轄に先んじて犯人を押さえたい。そのための密命捜査
 だというのだ。
 
  不法滞在外国人支援組織の女医自殺事件、フィリッピン女性死体遺棄事件、人身売買仲介
 人変死事件、そして今回の暴力団幹部の射殺事件。これは単なる暴力団の争事件ではなく、
 複雑に関連しあった事件である。そうした前提で背景調査を隠密裏に進める。所轄の波多野
 らも事件担当捜査員らを克明に洗っているうちに疑わしい人物が次々と上がってくのである
 が…。

  後半一気に事態は急変しアッと思わせる展開に。それは読んでのお楽しみ。
 
                                (以上この項終わり)


 

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