読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ロバート・B・パーカーのサニー・ランドル・シリーズ

2012年08月19日 | 読書

◇『束縛』(原題:SHRINK RAP) 著者: ロバート・B・パーカー(Robert・B・Parker)
                       訳者: 奥村章子 
                      2003.4 早川書房 刊(ハヤカワ・ミステリー文庫)


   


 ロバート・B・パーカーの作品は、スペンサー・シリーズ中心に多分80%は読んでいるが、本書のサニー
・ランドル・シリーズは初めて。
 サニー・ランドルは30代半ばの女性探偵。美人で向こう気が強い。父親も元警官だった。バツ一だが、
いまだに元夫が忘れられずに、愛犬ロージーを介してしょっちゅう会っている。その元夫リッチ―に新しい
彼女が出来て、美人でおまけに人柄も悪くないことから嫉妬心が昂じて戸惑っている。
 サニーは女流作家メラニーの新作販促ツアーに護衛役として付き添っている。メラニーの元夫で精神科
医のメルヴィンがストーカー行為を繰り返しており、身の危険を感じているからだ。
 メラニーはかつてメルヴィンの患者だった。なぜか頑強に経緯の説明を拒むのだが、診療の過程で心理
的拘束をうけるようになった暗い過去があるらしい(題名の「束縛」の由来)。
 メルヴィンのストーカー行為を止めさせるには何やら怪しげな診療をしているらしい彼の実像を暴くしか
ないと張り込みを続けているうちに、女性患者の死亡、サニーへの脅迫などが立て続けに起きて…。
 
 パーカーの作品は語り口が独特で洒落た会話も好ましい。サニー・ランドル・シリーズも軽快なテンポで、
サニーの小気味よい軽口もアメリカ女性らしくて好感が持てる。虎穴に入らずんばと、患者としてメルヴィン
の診療を受けているうちに、エディプスコンプレックスを指摘されてあわてるなど可愛いところもある。

 「素敵だと思う男はみんなゲイなのよね、で、ゲイじゃない男はろくなのがいないわ」には笑ってしまうが、
アメリカでは案外的を得ているのかも。

サニー・ランドル・シリーズの前作は「二度目の破滅」(2000)、「家族の名誉」(1999)。 

(以上この項終わり)

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