読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

今野 敏の小説『確証』

2012年11月26日 | 読書

◇『確証』 著者 : 今野 敏  2012.7 双葉社 刊

      

  今野敏の警察もの。
  今野敏の小説は前回は『逆風の街』、『TOKAGE』を読んだ。結構面白かった。
  今回は警視庁刑事部捜査第三課もの。普通捜査第一課が舞台であるが、窃盗犯を担当する第三課
 が舞台とは珍しい。
  主役は三課の刑事萩尾秀一と相棒の武田秋穂。二人の会話・やり取りが、漫才のようなところもあっ
 て面白い。
  渋谷で立て続けに3件の宝石店を狙った窃盗事件、強盗殺人事件が起こった。この3件の事件に奇
 妙な関連性を嗅ぎとった萩尾らは、元窃盗の情報屋迫田などを通じ独自の捜査を続けるが、強殺事件
 の方を担当する捜査一課の菅井刑事と事ごとにぶつかり上司をこまらせる。

  警視庁といえば捜査一課が花形。エリート意識が高く、我が物顔で振る舞い傲慢で縄張り意識がとく
 に強い。事件解決には組織間の協力が必要とは言っても第一課が常に指導しようとする。他の課にも
 鼻っ柱の強い萩尾のような捜査官もいてこうした一課のやり方に反発する。
  この小説は第三課の捜査官がこうした鼻持ちならない第一課に一矢を報いる話である。

  「娘っ子は黙っていろ」
  「俺の相棒に、二度とそんな口をきくな」
  「いわれるのがいやだったらちゃんと躾付けとけ」
  「おれたち三課はあんたrと違って捜査員一人ひとりの意見を大事にするんだよ。俺の相棒は・・・それが
   気に入らないなら好きにすればいい。おれたちは引き上げる。六郷文也を強盗殺人で引っ張って赤っ恥
   をかけばいいさ。それとも、ごり押しして冤罪でぶちこむか?あんたらの得意な手だよな」
  
  捜査第三課の萩尾刑事が捜査一課長の前で捜査第一課の菅井刑事に向かって啖呵を切る場面。ここで
  はさすがにノンキャリ出身の一課長も顔色を変えた。

  指紋照合金庫を破る手口が出てくる。「日本の製造業を支えているのはこうした中小企業の技術なのだ。」
 今野敏もよくわかってる。
  結局事件は萩尾の読み通り、一連の事件が窃盗と強盗とは関連があったものの、殺人事件は別筋のもの
 ということが分かり、菅井が萩尾に頭を下げるということで決着をみる。   



   

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