読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

メアリー・ヒギンズ・クラ-クの『魔が解き放たれる夜に』

2024年07月26日 | 読書

◇『魔が解き放たれる夜に

  著者:メアリー・ヒギンズ・クラーク(Mary Higgins Clark)
  
  訳者:安原 和見    2004.5 新潮社 刊 (新潮文庫)

     
   

   成人し、今は犯罪調査記者となったエリー。7歳の時に姉のアンドリアがボーイフレンドの
ロブに殺された。そのロブが近く保釈で刑務所を出てくる。何と身の無実を訴える裁判をおこ
すのだという。まだ殺人の余罪がある根っからの悪魔と信じて疑わないエリーは確固とした
証拠固めに奔走する。

ストーリーとしては単純で派生的サイドストーリーも安直であるが、「内緒だよ」との姉と
約束を守ったばかりに、二人の逢引場所を父に伝えなかったという罪悪感、そのための両親が
離婚、母の憔悴の挙句の死など犯 罪被害者の被ったかずかずの悲哀も重要な構成要素となって
おり、読みごたえはある。

 ロブ陣営は再審を妨げるエリー側を暴力的脅しや情報攪乱で追いつめる。エリーの車がロブ
の車に追いかけられ崖から転落する終局場面はスリリングであるが、父親と弟に助けられ、父
と和解するくだりはやや安直に過ぎる感はいなめない。
                             (以上この項終わり)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 令和6年のトマト栽培ー5ー | トップ | 米澤穂信の『黒牢城』を読む »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事