◇ 水彩で挑戦マネの「フォーリー・ベルジュールのバー」
clester F10 (中目)
印象派・後期印象派のコレクションで著名のコートールド・コレクションの傑作のひとつ、
エドゥアール・マネの「フォーリー・ベルジュールのバー」は大好きな絵で、かねてから挑
戦したかった作品です。
この作品はもちろん油彩で、水彩でどこまで近づけるのか全くわかりません。
水彩画の教室では傑出した画家の作品をお手本に絵を描くことがあります。筆遣い(タッチ)
や色の配置、濃淡などを勉強するためです。あくまでも練習でこれを臨画と言います。出来上
がった作品は複写とか複製とは言いません。
本体は英国ロンドン大学のコートールド・ギャラリー所蔵で、大きさは96.0×130.0㎝。マネ
はこの作品を描いた翌年1883年に亡くなっています。
フォーリー・ベルジュールのバーは社交界の上流の人々の社交場であり、高級娼婦たちの娯
楽の場だったそうです。
マネはこのバーの女性バーテンダーを自宅に連れてきて、酒瓶やフルーツなどバーの場面を
作り上げて制作したそうですが、絵は実際の構成とは違っています。バーテンダーは中心人物
として正面に位置していますが、背景の酒場の情景やバーテンダーの後ろ姿は鏡に映っている
姿にしては必ずしも物理的に正確ではありません。マネが画面構成、色面構成を考慮して巧み
に変えているようです。
専門家は酒瓶やフルーツは緻密に描かれているのに、人物は大雑把で簡潔に描かれていると
か、色調は明るく、明暗が密接に関連し合い画調のコントラストが強められているといった評
価をしています。彼は「芸術は簡潔さが必要である」と主張していたようです。
何はともあれできるだけ正確にデッサンをし、色彩、陰影、コントラストなど注意をしたは
ずですが、不満が残る結果に終わりました。
10年ほど前に作品の人物を中心にした部分を描いたことがあります。人物の表情が少し不自
然ですが、その他はこちらのほうがよかったような気がして、なんとも気持ちが落ち着きませ
ん。
(以上この項終わり)