リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

モーリス君

2008年11月16日 21時45分00秒 | 音楽系
先日ギター雑誌の「現代ギター」の古い号を調べることがあって、ぱらぱらと見ていましたら面白い記事を見つけました。1975年の2月号です。もう33年も前ですね。

ギター製作家の河野賢さんがヨーロッパの製作家を訪ねる「工房レポート」という連載にリュート製作家のヤコブ・ファン・デ・ゲーストのことが書かれていました。今ではお二人とも故人ですが、ヤコブ・ファン・デ・ゲーストは当時非常に人気のあったリュート製作家で、彼の楽器はホプキンソン・スミスやコンラート・ユングヘーネルを始めとするリュート奏者の録音にも使われていましたが、惜しくも80年代に夭逝したスイスの製作家です。

この記事自体は当時読んだことを覚えていましたが、ふとある写真に目がとまりました。それは「仕事を手伝うモーリス君」という説明が書かれていた写真でした。これって、ひょっとして私の楽器を作ってくれたモーリス・オッティガー?

そういやモーリスは若い頃ヤコブ・ファン・デ・ゲーストの工房で働いていたって言ったました。私がこの記事を読んだ33年前はもちろん「モーリス」君のことなどつゆ知らず、もちろん気にかけることもなく読んだわけです。他にも「モーリス君」の写真がありまして、その「モーリス君」は間違いなく若い頃のモーリス・オッティガーでした。

さっそくモーリスにスキャンした記事を送りましたら、早速返事が来ました。


・・・メイルと写真有り難う。いやぁまさしく歴史的写真です。
それはヤコブ・ファン・デ・ゲーストのところで働き始めたばかりの1974年10月のことです。現代ギターのインタビューで河野氏がやってきました。・・・


なんか不思議な出会いでした。1972年に初めてリュートを手にした私はこの1974年当時そろそろギターとの決別を考えていました。そして同年12月に四日市でのコンサートでギターを弾いたのが最後のステージでのギター演奏となりました。