リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

第3回バロック音楽の旅2008講座

2008年11月25日 12時24分49秒 | 音楽系
22日はくわな市民大学市民学科講座「バロック音楽の旅」第3回講座でした。今回は名古屋で活躍するフラウト・トラヴェルソ(バロック時代のフルートです)の片岡博明さんをお迎えしてのコンサートです。通奏低音は前回ソロコンサートをしていただいた鈴木美香さんのチェンバロと私のテオルボ(大型のリュート)が受け持ちました。鈴木さんが使用したチェンバロは前回ソロで使用した、名古屋在住の製作家安達正浩さん作のもので、白とピンクの美しいボディを持つ可憐な音色の楽器です。

プログラムはフランスとドイツの後期バロック音楽を中心に組んでいただきました。曲目は次の通り。

ジャック=マルタン・オトテール ( 1674 - 1763 ) 組曲第3番 ト長調

ミシェル・ブラヴェ (1700 - 1768 ) ソナタ第2番 ロ短調

ジャン=マリー・ルクレール ( 1697 - 1764 ) ソナタ第3番 ハ長調

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル ( 1685 - 1759 ) ソナタ第1番 ホ短調

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ ( 1714 - 1788 ) ソナタ ト長調

ゲオルク・フィリップ・テレマン ( 1681 - 1767 ) ソロ第5番 ト短調




前半はフランスもので、ルクレールのあとに休憩をはさんで後半はドイツものでした。前回のチェンバロソロも大変好評でしたが、会場の大山田キリスト教会チャペルの豊かな残響の中で耳にする、バロック時代のフルート、フラウト・トラヴェルソの音に、皆さんうっとりと聴き入って下さいました。曲目も十八番をならべただけに片岡さんのフラウト・トラヴェルソはまさに絶好調でした。さらに通奏低音にチェンバロとテオルボを使ったのもいい評価を頂きました。

私が使ったテオルボはいわゆるフレンチテオルボでしたが、弦はいわゆるテオルボの調弦ではなく、バロックリュートと同じ調弦にしてあります。ま、要するに巨大なバロックリュートということです。バロックリュートの方がテオルボの調弦より高い音を取りやすく、かつ調性の対応性が高いので最近はもっぱらこれです。加えてスイスのモーリス・オッティガー作のフレンチテオルボはすごく音量があり、今回のコンサートでもトラヴェルソとチェンバロに負けず音が対角線の一番遠いところにいた方にも充分届いていたそうです。(そんな当たり前のこといちいち言わなあかんくらいリュートは音が通らんのかい、ってつっこまれそうですが(笑))前の方のお客さんなんかはチェンバロより音が大きかったとおっしゃる方もいましたが、これは多分リュートは音が小さいというつもりで聴いていたからかも知れません。

今回の通奏低音はせっかく2つの楽器を使うので、エマヌエル・バッハの作品では強弱をはっきりつけなくてはいけないところを少し工夫してみました。つまり、片岡さんがピアニシモで演奏するところは、チェンバロは休みにして、テオルボが少し音色も柔らかめに変えてピアノくらいで演奏する、フォルテシモのところはチェンバロのコードを厚めに、テオルボは少し固めの音でといった工夫です。私たちとしては自画自賛(笑)していましたが、聴かれた方は如何だったでしょうか。


コンサートが終わって後かたづけをするころはこんなに暗くなっていました。

さて次回第4回の講座はレクチャーで会場を桑名市精義公民館に移します。「ヨーロッパの古都と名画とバロック音楽」と題し、ヨーロッパの古い街や絵を見ながらそれらにまつわる音楽を楽しんで行きたいと考えております。