リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

三島由紀夫没後50年

2020年11月25日 19時45分33秒 | 日々のこと
今日は三島由紀夫が市ヶ谷の陸上自衛隊駐屯地で自決してから50年になります。そのころ私は大学1年生で、大学から帰宅する途中、名古屋の栄にある本屋さんをフラフラ歩いていて目にしたのが、「三島由紀夫氏自決」の文字でした。それは結構低い位置にあったと記憶していますが、B4くらいのサイズの紙に筆で書かれていて、落語の演目帳のようなものに貼られていました。

そのころまでに三島作品で読んだのは「潮騒」と短編の「憂国」くらいしかなかったのですが、三島由紀夫という作家はとても有名でしたのでとても驚きました。しかも行動を共にした盾の会のメンバーに四日市出身の人がいたということで、妙に近いものを感じたものでした。

1年ほど前に「潮騒」を読みなおしてみました。どうしてまた読む気になったのかというと、本棚にあった北杜夫の「楡家の人々」を何気に手に取ったとき三島の書いた推薦文が本のボックスに書かれていました。その推薦文は旧仮名遣いで書かれていたのですが、一つの作品といっていいほどの格調の高い名文に感銘を受けたのです。

「潮騒」を読み直してみると、格調の高い文が美しく小説の世界を彩っていることに惹かれました。若い頃はストーリーの流れだけを読んでいた感じでしたが、トシをくってみてほんの少しですけど文体の美しさ、表現の巧みさがわかるようになった感じがしています。「潮騒」のような完成度が高くポピュラリティも高い作品をわずか29歳のときに書いたなんて信じられないくらいですが、45歳で没した彼からすればすでに円熟期に入っていたのでしょう。

彼の死後読んだ金閣寺、仮面の告白なんかも再読してみようと新版を購入しましたが(潮騒も新版で再読しました)、今のところまだ「ツンドク」状態です。(笑)昔買った三島作品の文庫本はまだ持っていますが、字が小さくて読みづらいです。あれからもう50年もたったのですね。