リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

オスカー

2005年08月19日 01時01分15秒 | 音楽系
今日はオスカーのコンサートを聴きに名古屋の電気文化会館に行ってきました。スコラのカフェでお話をしたとき,8月18日の名古屋のコンサートは必ず行きますよ,って言っておいたのですが,彼は私のことを憶えてくれていたかな。コンサートが終わってロビーに来たとき「ハロー」って言ったら,目があったのでたぶん私の顔に記憶があったような感じでした。
彼のコンサートは,実はバーゼルで一度も聴いたことがありませんでした。多分私がバーゼルにいる間はバーゼルではコンサートを開かなかったように思います。大昔に彼が名古屋に来たときに(まだそのころはやせていてスマートでした(笑))行ったことがありますが,どんな演奏会だったかはもう記憶にありません。
今夜のコンサートはポンセやらヴィラ・ロボスやらソルやらで比較的オーソドックスな感じプログラムでした。福田進一さんとの二重奏,地元の酒井康雄さんも入った三重奏もありました。一曲目にバッハのオルガンのトリオBWV525を二重奏にアレンジしたものを演奏しましたが,バスラインが高い位置(相対的に)あったので声部の分離が悪い感じでした。こういうのをギターで弾くのは大変でしょうね。一人が上2声を弾いて,もう一人が通奏低音をしたほうがバランスがいいように思いましたが,こっちの方が技術的には大変かも。
コンサート後はそのまま帰ろうとホールを出かけたら,ギターの野村さんに誘われて彼の生徒さんたちといっしょに近所のレストランに。終電ぎりぎりの列車で家に帰りました。

続プチ浦島

2005年08月18日 01時01分46秒 | 日々のこと
東京からバスで名古屋に着いた朝,まだ始発もないので,名古屋駅周辺をぶらぶらとあるきました。ひょっとしてひとつくらい店が開いてないかと期待をして。「宮本むなし」でもあれば,朝飯でも食べようかななんて。
駅の東口を出て,「グリグリ」のモニュメントを左手に見て,名鉄の方へ。あれっ?毎日ビルがない!あるのは巨大な墓石のように屹立する高層ビルです。何かまわりの様子がすっかり変わっていました。昔デートのときよく行ったあの映画館はいずこへ?そういえば,このあたりはそもそも最近ほとんど歩いたことがなくて,ツインタワーすらもまともに見たことがありませんでした。(情けない話ですが(笑))
改めてツインタワーも含めたまわりの景色をぐるっとながめてみましたが,もはや私の頭の中にある名古屋駅前はほとんどありませんでした。名鉄百貨店の横を通って下におりる近鉄への連絡通路すらもはやないんですから。
去年,「ららら科學の子」(矢作俊彦)という小説を読みました。30年前に中国に密入国した男が現代の日本に帰ってきた話なんですが,名古屋駅前の変貌ぶりを目の当たりにして,その男の気持ちがよくわかりましたね。(笑)
って,別に私は30年も外国に行っていたわけではありませんが,それにしてもすごい変わりようです。目に付く建物で健在なのは大名古屋ビルヂングくらいのものですから。まだプチ浦島状態は続いています。

お粥

2005年08月17日 08時00分39秒 | 日々のこと
2週間ぶりに息子の見舞いに東京に行ってきました。前回は3日に行ったのですが,ずいぶん顔色もよくなり元気そうで安心しました。最近は下血もなく血液の炎症反応もゼロとのことです。ここ何日か流動食をとっていましたが今日から「中粥食A」になりました。これはおかゆ,豆腐,柔らかい具が入ったスープ,アンコ,コーヒー味のドリンクなどで,結構普通の食事っぽいです。
担当の先生に聞いたら,順調に行ったら今月末の退院もあり得るとのこと。それにしても長かったですねぇ。入院したのが先月の8日でしたから,今月末に退院しても2ヶ月近い入院です。お粥で問題なかったら,点滴がはずせますので,うまくいったら明日あさってにでも外出が可能らしいです。息子は渋谷のHMVに行きたいといっていますが,ステロイドで免疫力が落ちていて人混みに行くと病気をもらってこないか心配ではあります。
それにしても医療費は高いです。18歳まで医療保険つきの学資保険に入っていましたが,一度も使うことなく満期,それ以降は保険に入っていませんでした。保険に入らなくなったら入院というトホホパターンです。潰瘍性大腸炎は特定疾患で医療費補助が国からでますが,これも申請日以降の分だけらしく,申請が遅れたために三分の一は自前です。世の中こんなもんです。ま,快復に向かっているので別にいいですけどね。(笑)

夏季セミナー

2005年08月14日 23時25分14秒 | 音楽系
11日から14日まで高山市上宝で,名古屋バロック音楽協会主催の夏季セミナーに行って来ました。名古屋バロック音楽協会は,設立29年を迎えるアマチュアバロック音楽愛好家団体の老舗です。協会設立には私も少し関わりました。

会場はペンション「オープンハート平川」です。それ以前はいろんな所でセミナーを開催していましたが,音出しの問題もなく,「奏楽堂」と呼ばれるホールまであるこのペンションを会場に固定してからもう10数年になります。

以前は,音をいつまでも出していて近所のペンションから苦情がきたり,クロージングコンサートをする場所がなくて苦労していましたが,「オープンハート平川」はオーナーの理解もあり,本当にありがたい場所です。

今回のコースは,チェンバロ,リコーダー,フラウト・トラヴェルソ,ヴィオラ・ダ・ガンバ,リュートで,それぞれ,鈴木美香,伊藤雅史,片岡博明,福沢宏の各氏と私が講師を担当しました。

セミナーの内容は,各講師によるレッスン,アンサンブルのレッスン,講師によるコンサート,受講生によるクロージングコンサートで,毎日びっしりと詰まっています。さらに深夜まで練習される元気な方や夜遅くまでワインやビールを飲みながら延々と「お話」をされる方もいらっしゃいます。(私のことです。(笑))

ここ2,3年少し参加者が減ってきていますが,それはそれでこぢんまりした雰囲気でとてもよかったです。来年もまたこういういい雰囲気にひたりたいと思っています。1年先のことなので,アレなんですけど,バロック音楽をやってみたいあるいはすでに何か楽器をされている方は是非参加されるといいと思います。もちろん初心者大歓迎です。

高山

2005年08月10日 23時36分00秒 | 音楽系
明日から名古屋バロック音楽協会のサマーセミナーに行きます。場所は高山市のペンションオープンハートです。このペンションは元の住所は上宝村だったんですが市町村合併で晴れて高山市になりました。この方が通りがいいですね。
やっと涼しいところに行けます。(笑)
リュートコースは2名ですが,この数を多いと見るか少ないと見るか。リュート人口は一説にはギターの千分の一と言われていますので,参加者がいるだけでも充分多いと見るのが妥当かな?
主催の名古屋バロック音楽協会は発足30年近い伝統を持つアマチュアの音楽愛好団体ですが,毎年欠かさずサマーセミナーを同ペンションで開いています。機関誌も年3回定期刊行している日本における有数のアマチュア団体の一つです。
今年参加されなかった方はぜひ来年いかがですか。ペンションの食事もとてもおいしいし,とても楽しい時間を過ごすことができると思いますよ。
高山からはこのブログを更新することができませんので,14日までブログはお休みです。それでは,また。

出発

2005年08月09日 23時48分18秒 | 日々のこと
今日,私の娘がアメリカに出発しました。アメリカの大学院で勉強するためで,多分2,3年は(あるいはもっと?)帰って来ないと思います。中川家もだんだん人がいなくなり,ついには私と妻と私の母親の3人だけになってしまいました。(涙)

私は2年前から娘と「別居状態」でしたので,別れるときの耐性はついていましたが,私の妻は少しつらかったみたいで,ウルウルしていました。まぁ,こういうことは自分の子供が独り立ちして育っていくということなので,仕方ありませんね。

娘は私とは全然畑違いの日本語教育学の専攻です。何でも語用論をやるとか。これで私もやっとアメリカに行く理由ができました。今までは自分がアメリカ英語を勉強しておきながら,リュートとアメリカはほとんど関係がなく(ダウランドの写本がワシントンにあることはあるんですけどね)行く理由がありませんでしたから。

娘はここ1年半くらいバッハの音楽にはまっていまして,ついにはチェンバロのレッスンを受けるに至りました。実はそれまでは,いくらこちらが機会を与えてもあまり関心を示さなかったのですが,あるきっかけではまってしまいました。それは去年の3月,バーゼルの私の所に来たとき,シュツットガルトで開かれた鈴木雅明の講習会に一緒に行ったんです。それでも始めのころは無関心だったんですが,教会で行われたカンタータのリハーサルと本番で突如目覚めたようです。やっぱり生演奏で,しかもヨーロッパの教会でというのはインパクトがあったんですね。今回のアメリカ行きにも,何枚かバッハのCDを持って行きましたし,メモリプレイヤ用のシュアー製超高級イヤホンも買って持っていきました。勉強の疲れをバッハの音楽で癒し,がんばって欲しいです。

セラックニス

2005年08月08日 23時55分04秒 | 音楽系
3月に買ったモーリスのリュートの塗装はセラックニスです。これは天然の材料による塗装で,仕上がりは非常に美しいのですが,なかなか乾かないのがたまにキズです。3月までメインで使っていたデュルビーの楽器も完全に乾ききるのに1年くらいを要しました。モーリスの楽器ももちろんまだ乾ききっていません。特に温度が高くなると,柔らかくなってきまして,いろんな「柄」がついてしまいます。

バーゼルにいたときもすごく気温が高い日がありまして,そういう日に弾いているとリブ(楽器の裏面)にシャツがねっとりとついてしまい,それをはがすとシャツの跡が残りました。6月の終わり頃までには,体に触れる部分とケース内部にあたっている全てに「柄」がついてしまいましたので,帰国する直前にモーリスの所に行きぴかぴかに磨いてもらいました。

でもそんな努力も日本に戻ると元の黙阿弥。練習するときは,膝にのせる滑り止めは四重,胸にはタオルを四つ折りにしたものをあてて演奏していますので,さすがに大丈夫ですが,ケースに入れておいたときにどうしても「柄」がついてしまいます。もっともこれらの「柄」は,セラックが乾いていないこともあり,そのうち溶けていき終いには元の平らな面に戻るはずですが,気にはなります。

もうバーゼルは夏は終わったようで,最高気温20度台前半,最低気温は10度を切っています。この気候なら,もうセラックの塗装のことを考えなくてもいいんですけどね。もうちょっと長くいてもよかったナ。

セミプロ

2005年08月07日 22時00分35秒 | 日々のこと
ヨーロッパではもう夏は終わったという感じらしいですが,日本は夏の真っ盛りという感じですね。暦の上では今日が立秋だそうで,そういや蝉の鳴き声もどことなく秋めいて・・・という感じがしないでもないですが,でもまだまだ暑苦しい鳴き声です。

子供が小さい頃近所の公園によく秘密兵器を携え蝉捕りに行きました。その秘密兵器とは・・・名付けて「セミプロ」(笑)。

それを使うと百発百中で蝉が捕れます。ここまで沢山捕れると蝉捕りなんて全く面白くなくなってしまうんですけど,あえてその秘密兵器を公開しましょう。ひょっとしてご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが。

よく昔蝉捕り用のタモを売っていましたよね。(今も売ってるのかな?)あれはだめです。そのタモのかわりに,なんとエビダモを使うんです。エビダモはエビをすくうためのタモで,口の部分の直径が10㎝程度ですが,網の部分は結構長めです。釣具屋さんに売っています。

エビダモのまんまでは蝉に届きませんので,何でもいいですがら,長い棒にガムテープなどでくくりつけます。これで「セミプロ」の完成です。あとは,蝉さんを見つけたら,そーっと蝉さんの上にカパッと「セミプロ」を重ねるだけです。突然背後に何かかぶせられて驚いた蝉さんは危険を察知して飛んでそこから離れようとしますが,時すでに遅し,狭いエビダモの網に足がからまってしまい,哀れにもそこから出ることができません。
もがき苦しんでいることを確認したら,「セミプロ」を木からはずし,捕獲した蝉をカゴに入れます。以下これをくり返します。

「セミプロ」を使うと蝉との駆け引きは全く不要で圧倒的な力量差で勝利を収めることができます。10分もすれば,カゴの中は蝉で一杯になり,蝉捕りは何とつまらん遊びだろうと思ってしまいます。(笑)こんなの自分が子供の頃知らなくてよかったです。私の子供は結局捕った蝉をみんな放していました。キャッチアンドリリースってやつですね。私は何かもったいない感じがしましたが。(笑)

もし小さなお子さんがいらっしゃる方は,ぜひ「セミプロ」を使って親の威厳値を上げるのに活用されるといいと思います。

石取祭

2005年08月06日 23時50分29秒 | ローカルネタ
今日の未明から私の住む桑名市では石取祭(いしどりまつり)が始まりました。瀬戸内寂聴さんの「寂聴ひめくり暦」にもちゃんと出ていました。(笑)

祭りのいわれは,江戸時代に市内を流れる町屋川から豊作を祈願して市内中心部の春日神社に石を運んだことにちなんでいるらしいです。旧東海道筋を春日神社まで鉦と太鼓を装備した各町の山車で練り歩くんですが,音の大きさは多分世界最大クラス,バーゼルのファスナハトなんか較べものになりません。

今年は2年ぶりで祭りを見まして,少々興奮気味です。私の住んでいるところは旧東海道筋のすぐ近くでかつては祭りに参加していましたが,人手と資金の不足で私の小さい頃に休祭し,戦争で無事残っていた山車もとうとう10年近く前に近隣の町に売却してしまいました。でも鉦と太鼓のリズムは体にしみついていまして,これを聞かないと夏になりません。

今日は試楽(しんがく)といいまして前哨戦です。明日は本楽(ほんがく)で祭りは最高潮を迎えます。お時間がありましたら,ぜひいらして下さい。

オリジナル楽譜のすすめ

2005年08月05日 13時36分39秒 | 音楽系
娘が最近バッハにはまっていまして,先日もパルティータの楽譜を買ってきました。もちろんそんな難しい曲は弾けないんですけどね。(笑)
娘が買ってきたのは,音楽の友社版でした。でもパルティータはバッハの作品の中でも数少ない出版譜ですので,オリジナルでも非常にきれいで読みやすいです。現代譜は確かによりきれいで整理されていますが,実はいろんな個所に編集者の意見が入っていることが多いです。装飾記号一つにしても現代でよく使われているものに変更されています。

私はよくリュート愛好家の方にオリジナル楽譜を見るようにすすめるのですが,どうも敷居が高く見えるらしく,あまり自分から積極的にオリジナルを見るという人はいないようです。最近は現代版が多く出版されていますし,インターネットにもかなりの楽譜がアップされていますので,それらを見ればいいという意見もあるかもしれません。

プロが複数のオリジナル楽譜にあたり,自分のバージョンを持つのは当然でしょうが,私はアマチュアの方こそ,オリジナル楽譜を使ってほしいなと思っています。オリジナル楽譜はそれこそ宝の山です。その他からの山に分け入れば,きっと自分のミュージックライフが豊かになると思いますし,一生続けていく価値がある趣味になること請け合いです。それこそ,生涯学習のお手本みたいなものです。

オリジナルにあたるには2つの方法があります。一つはオリジナルのまま出版されているもの(ファクシミリ)を買う方法。もう一つはオリジナルをマイクロフィルムにとってもらい,それを買う方法。後者の場合は,オリジナルによってはコピーしてもらうことも可能です。オリジナルマイクロフィルムを買った場合は,さらにそれをプリントアウトし製本するという作業があります。

こう書いてくるといかにも敷居が高そうですね。(笑)英語も必要だし。でも幸いリュートは,昔の文献のガイド本があるんですよ!Ernst Pohlmann著のLaute, Theorbe, Chitaroneです。この本を見て,ヨーロッパやアメリカ各地の図書館に照会すれば,手に入らない楽譜はありません。もちろん資力のある方はファクシミリを買いまくるでもいいでしょう。

ここでは具体的な方法を書くスペースはありませんが,そのうちに私のサイトに「ガイド」を書いてみようかと思っています。でも,オリジナルが欲しくなっていてもたってもいられなくなった方は私にメイルを下さい。