東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方 | |
上田正仁 | |
ブックマン社 |
これは大学1年生に読んでもらいたい本です。高校までの「正解が必ずある」問題を考えて答えを出す、ということから、自分で課題を見つけて解決していく頭の使い方への変換方法、について書かれています。今の若い人は自分で考えることをしないとよく言われますが、わたしの印象では「頭の使い方を知らない」ということにつきます。よいエンジンを持っていても、かけ方を知らないので走りだせないという感じです。
本書では疑問に思ったことを粘り強く考え続けろ、そのためにはどうしたらいいか、ということが述べられていますが、まずは今人類が到達している「現在地点」を確認しろということが強調されています。見知らぬ場所で先に進むには地図が必要ですが、現在地点がわからなければ地図を持っていても役に立たないからです。
しかし最近の若い人は「批判的思考力」を持たず、自分や自分の回りのことに疑問を持たない人も多いです。本書で述べられている「鍛え方」を始める前にさらに前段階として「なぜだろう」「不思議だな」「ほんとかな?」というシンプルな疑問を持つ、ということを大事にしてみるところからやってみたら、と思います。