院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

教育の機会均等は理想論

2006-08-01 13:17:49 | Weblog
 医学部を受験するときに私は教師に相談に行った。国公立だけでは不安なので、私立を受けることも考えたからである。教師の答えは「おまえは国公立に受かるから、私立は考えなくてよい」というものだった。

 私はすぐに察知した。教師は「おまえの家の経済レベルでは、私立は無理だ」と言いたかったのである。受験する前から門前払いを喰らったわけで、教育の機会均等なんて嘘だと、くやしい思いをした。

 教育の機会均等は、中学生までである。小学生のころ、しばしば学校を休む女の子がいた。担任は「あの子はお母さんが亡くなって、お父さんも病弱なので、家のきりもりをしなくてはならないんです」と生徒たちに説明した。子供心にショックだった。昔は小学校でも教育の機会均等が不十分だったわけである。

 私が高校生のころ、Z会という結構難しい通信添削の会社があった(今でもある)。その会でいつも高得点を取る女性がいた。東大も楽勝の成績だった。Z会は大学に合格すると辞めるのが普通なのだが、その女性は何年もZ会に入会していて、高得点を取り続けていた。

 怪訝に思ったある会員が、機関誌に「あなたは優秀なのに、なぜ大学へ行かず、いつまでもZ会で遊んでいるのですか?」と質問した。そうしたら、その女性が機関誌に返事を寄せた。返事には「大学へは行きたいのですが、私は家族を養うために働かなければならず、Z会の費用を出すだけでも大変なんです」とあった。これにもショックを受けた。 

 家庭が裕福でないと大学の私学、特に医学部には行けないことは、今も変わっていない。