院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

医師国家試験

2006-08-29 11:14:15 | Weblog
 医師国家試験は司法試験の次くらいに難しいだろう。

 膨大な医学的知識を覚えなくてはならない。意外に知られていないことだが、医学生に専門科はない。医学生はすべての科を勉強しなくてはならない。科別に別れるのは医師国家試験に受かってから、さらに全科を2年間研修して、そのまた後である。

 医学部に入っても医師国家試験に通らなければ、医師になれない。だから、医学生は必死に勉強する。100万人に1人というような珍しい病気についても、詳しく勉強する。

 医師国家試験は合格最低点が公開されていない。だから、厚生労働省は自由に合格者数を決めて、医師の供給をコントロールする権限をもつに至った。

 何年か前、合格率が下がった年があった。マスコミの質問に答えて厚生省(当時)の官僚はこう言った。「今年は学生の質が下がったからでしょう」。

 合格最低点を自分たちで恣意的に決めておいて、「学生の質が下がった」とは、よくもまあ、ぬけぬけと言えるなあと、当時思ったものである。

 医師叩きが盛んなころ(今でも)だったから、マスコミも厚生省の自己矛盾をそれ以上追及しなかった。官僚というのは狡猾である。