転勤のたびに患者さんをたくさん引き連れてきて、「自分を慕う患者さんがこんなにいる」と自慢げな医者がたまにいる。
私たちはそういう医者を「患者離れの悪い医者」と呼んで、ほとんど軽蔑している。彼らはナルシストであるにすぎない。
患者さんが他の医者に行けなくなるほどに、自分の手垢を付けてしまっては、医者として失格である。遠方に転勤した場合、交通費や時間を患者さんに浪費させることにもなる。なにより、その医者が死んだら、患者さんはどこへ行けばよいのか。
特定の患者さんに思い入れしすぎると、「贔屓の引き倒しになる」とは恩師中井久夫先生の弁である。(『精神科治療の覚え書』、日本評論社)。
「患者さんのために、患者さんのために」という考え方も実は問題がある。ひとりの医者が取り扱える患者さんの数は有限だからである。
戦前のアメリカの有名な精神科医H.S.サリヴァンは「生活のために医療をやっている医者がもっとも良医だ」とまで言っている。
私たちはそういう医者を「患者離れの悪い医者」と呼んで、ほとんど軽蔑している。彼らはナルシストであるにすぎない。
患者さんが他の医者に行けなくなるほどに、自分の手垢を付けてしまっては、医者として失格である。遠方に転勤した場合、交通費や時間を患者さんに浪費させることにもなる。なにより、その医者が死んだら、患者さんはどこへ行けばよいのか。
特定の患者さんに思い入れしすぎると、「贔屓の引き倒しになる」とは恩師中井久夫先生の弁である。(『精神科治療の覚え書』、日本評論社)。
「患者さんのために、患者さんのために」という考え方も実は問題がある。ひとりの医者が取り扱える患者さんの数は有限だからである。
戦前のアメリカの有名な精神科医H.S.サリヴァンは「生活のために医療をやっている医者がもっとも良医だ」とまで言っている。