院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

アル中の発祥

2007-05-10 08:32:17 | Weblog
 アルコール依存症の人が増えている。予備軍も入れれば何百万人にもなる。

 アルコール依存症を昔は「アル中」と言った。でも、ニュアンスが少し違う。昔の「アル中」には、「酔って暴れる」という意味が含まれていた。

 多くのアルコール依存症の人は暴れない。これを俗に「にこにこアル中」と言う。

 酔って暴れるのは、正確には「酒乱」ないし「病的酩酊」という。これらの人は必ずしもアルコール依存症であるとは限らない。ただ、酔うと人柄が変わったように暴れるだけである。

 アルコール依存症は、大昔はなかった。お酒は高価で、みな依存症になるほど毎日お酒がたくさん飲めなかったからである。

 アルコール依存症が見られるようになったのは、産業革命以降である。産業革命によって、アルコールが大量生産できるようになり、値段も安くなって、その結果アルコール依存症が生まれた。

 ただ、「酒乱」は産業革命以前からあった。ふだんは酒を飲まないのに、飲むと人が変わってしまうのだから、アルコールの生産量とは関係がなかった。

 いま、喫煙禁止運動がさかんだけれども、飲酒禁止運動はない。でも、アメリカのエリオット・ネスの時代には、飲酒禁止運動があって、禁酒法まで作られたのである。いま考えればバカみたいな話で、将来、喫煙禁止運動もバカみたいと思われるようになるかもしれない。

 (喫煙禁止論者が車を運転して排気ガスを出しているのは、まったくマンガである)。