院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

写真業界の栄枯盛衰

2007-05-12 13:59:01 | Weblog
 カラーフィルムを初めて売り出したのはアメリカのコダック社だった。

 わが国では、さくらフィルム(現コニカミノルタ)とフジフィルムがカラーフィルムを出した。しかし、性能はコダック製に及ぶべくもなかった。

 でも、技術革新が進んで、国産のカラーフィルムもコダックに次ぐ性能を持つようになった。コダック製は、すごく値段が高かったから、プロしか使わず、アマチュアはもっぱら、さくらやフジを使った。

 さくらとフジは最初は互角だった。転機は昭和40年代に訪れた。フジがさくらに先駆けて、感度がこれまでの4倍のカラーフィルムを市場に投入したのだ。

 粒子はまだ粗かったが、改良が重ねられ、やがて十分実用に耐える製品となった。ここで、さくらとフジの差は決定的となった。

 昭和40年代後半、フジは扇千影さんの「私にも写せます」という宣伝で、簡易型8ミリカメラをヒットさせた。さくらは、そのような製品を投入できなかった。

 以来、今日までさくらはフジに追い着けなかった。

 さくらは起死回生を狙って、昭和60年代に「100年プリント」という製品を出した。100年たっても色あせないというふれ込みだった。

 さくらはフィルムにも「100年プリント」とうたった。これが間違いの元だった。

 100年もつのは印画紙のほうであって、フィルムがいくら100年もっても、他社の印画紙を使用されれば、効果はゼロである。写真に疎い人々は騙せても、趣味人で騙される人はいなかった。

 これが災いしてか、さくらは凋落し、同じく凋落したミノルタと合併せざるをえなくなった。

 一方、フジフィルムの方は、使い捨てカメラのヒットもあって、ますます成長したけれども、デジカメが出てから怪しくなってきた。いまや、フジのフィルムは、売り上げが激減しているのではないか?

 キャノンはいち早く写真離れを始め、いまやコピーやプリンタ業界で成功している。

 中学生時代からカメラ小僧だった私は、写真関連会社の栄枯盛衰を見てきた。医者という仕事柄、いわゆる企業というのに勤めたことはないが、企業の経営は生き馬の目を抜くような厳しい世界だということを、趣味を通じて学んだ。