院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

死ねば「無」になる

2007-05-16 10:40:08 | Weblog
 わが国は平均寿命が世界一だと威張っている。

 寿命が長いことがそんなに良いことなのだろうか?

 死んでしまえば、すべて「無」になる。生まれる前の、何にもない状態になる。完全な「無」だから、寿命が長いことや、ひいては宇宙が存在することさえ無意味になる。

 3歳で死んでも、100歳で死んでも同じことである。寿命が長いからといっても、全員が死亡する。あとには何も残らない。

 骨が残ると言う人もあろうが、死んだ人には骨は認識できない。だから、どうでも良いことである。

 こんなにも平等に死は訪れる。これは一つの救いである。生前、ホームレスだった人も、プール付きの大邸宅に住んでいた人も、みんな必ず「無」になる。ほんとに平等である。

 「無」になることは怖いことではない。だって、「怖い」ということさえ「無」になるのだから・・・。

 だから、現在、私たちが生きて、しかも自我をもっていることが奇跡というほかはない。なんで自我なんてあるのだろうか?自分自身を内省する自我なんて、他の動物にはない。

 人間は変に自我なぞをもってしまったゆえに死を怖れるのだ。これは、むしろ異常事態で、かつ特例である。

 霊魂の存在をうんぬんする輩がいるけれども、霊魂が存在するよりも、現在ただいま、自我が存在することの方が、よっぽど不思議なことである。

 繰り返すが、自我があることが特別なのであって、ほんとは何もないのが普通なのである。