院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

歌舞伎

2009-01-30 08:27:22 | Weblog
 私の祖父の世代は、みな歌舞伎のセリフを知っていた。

 TVのない時代、歌舞伎は庶民の一大娯楽だった。今ならば野球のようなものだろうか?ドラゴンズがどうのタイガーズがどうのというのと同じように、歌舞伎は雑談のネタになっていた。

 昔は、ナリコマ屋がどうのこうのと言っていた。

 声色(こわいろ)という芸が寄席でやられていた。これは歌舞伎役者のモノマネである。それが人気があったのである。今では通用しないだろう。

 かつては能が歌舞伎をバカにしたように、歌舞伎は映画をバカにしていた。だが、映画全盛の時代になってから、歌舞伎は映画を無視できなくなった。歌舞伎は川原乞食の血を引いている。心ある歌舞伎役者は何にでも出るようになった。

 先代の松本幸四郎も今の松本幸四郎もそうだった。それによって梨園は生き永らえた。

 今、松たか子は歌舞伎には出ない。もっぱらTVである。このようにして、芸能はいつまでも古典ではないのである。