院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

80代老人の「戦争体験?」

2015-06-29 06:12:43 | 歴史

(日露戦争の兵士を迎える凱旋通り(絵葉書)。鳥飼行博研究室のHPより引用。)

 上の写真は日露戦争の兵士を迎える道路である。(終戦後の写真かは不明。)大国ロシアに勝ったと、終戦後は日本各地で戦勝を祝う提灯行列が行われたという。

 日本政府は、このまま戦争を続けると物量で負けると察して、有利なときロシアと講和した。したがって、賠償金は奪えなかった。それに激昂した民衆が「賠償金を取れ」と日比谷焼打事件を初めとする破壊行動を起こした。

先の大戦後、2年間シベリヤに抑留されていた亡父は「ひどい目にあった」とは言ったが、「このたびの戦争は間違っていた」とは言ったことがなかった。戦争に正しいも間違いもないのだ。

 最近、「戦争体験者」として80代の老人の発言が珍重されるけれども、80代の前半ならまだ少年少女で「戦争体験者」ではなく、「"敗戦"体験者」に過ぎない。そのような人たちの「戦争は2度とやってはいけない」という言葉は「"負け戦"は2度とやってはいけない」と読み替える必要がある。

 その老人たちが、もし日露戦争の時代に生きていたら「戦争は2度とやってはいけない」と言うだろうか?喜色満面で提灯行列に参加したクチではないか?そのように人間とは弱くて愚かなものだ。


※今日、気にとまった短歌

  歓声の0.5秒前に鳴るミットに収まる白球の音 (川崎市)十詩子